【第23回】今だから読んでおきたい通販書籍はこれだ「不満50+3解決術」(通販協会編集・刊行)を読み解く
POINT
『「取引のノウハウ」とは「企業信用のためのノウハウ」を実感』
『タイトルの「不満50+3解決術」のわけとは』
『発行は、執筆・編集は誰がしたの』
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■「取引のノウハウ」とは「企業信用のためのノウハウ」を実感
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毎日暑い日が続いております。すでに熱帯夜は40日も続いており、今後も記録的な暑さは続きそうです。自転車が趣味の友人は日射病でダウン、病院で治療後2日ほど自宅で療養しておりました。気の毒なことに、いい歳(50歳)してこの暑い中、わざわざ自転車で遠出する彼に同情の声はありません。
熱帯夜の寝苦しい夜ですが、夜の11時には寝て、朝5時過ぎには起きるという早寝早起きを習慣としております。起きてすぐにラジオとネットでニュースの確認をするのが朝の日課となります。
このコラムも大概は朝に書いております。さっそく今朝ほど一週間単位でまとめた通販関連のニュースの中に「通販市場11年連続売上高増 手軽さと節約志向が後押し」という見出しが目に入りました。
日本通信販売協会は09年度の通販売上高を前年度比4.1%増の約4兆3,100億円とする推計をまとめました。百貨店、スーパー、コンビニなどは苦戦している中、通販はインターネットによる売り上げが拡大。健康・美容関連商品、食品などが人気を集め、11年連続で売上高を伸ばしたという内容でした。
ネット通販は豊富な品揃えと手軽さで急ピッチで普及しており、通販市場全体を成長させているとしております。さらに節約志向を強める消費者が休日を自宅で過ごしながら、家電製品などの高額商品や各地の名産品、あるいはネットで食品や日用品を注文し、自宅に商品を届けてもらう「ネットスーパー」も通販の売上高に貢献している。イトーヨーカ堂やイオンなどはネットスーパー事業を伸ばそうとしており、「巣ごもり消費」が広がったことも、通販の好調を支えた、と結んでおります。
潜在的な需要や市場性から見れば、注目すべしはテレビショッピングやネットとなるのでしょうが、こういうときだからこそ通販の原則、基本をしっかり押さえるべきなのではないでしょうか。そこでご紹介
したい一冊の中に「不満50+3解決術」(通販協会編)があります。
約20年ほど前に編集・刊行された古いものです。今更と思われるでしょうが、新しい市場環境と技術に触れるだけでなく、これまでの成長を支えてきた先輩の努力と知恵に学ぶことは多いはずです。
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■タイトルの「不満50+3解決術」のわけとは
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本書は1993年にまとめた「お客様の50の不満」の改訂版とも言うべきものです。本書によれば、「業界が克服できていなかった弱点を洗い直し、また、インターネットや環境問題といった時代の変化とともに、新たに発生する問題を取り入れた内容」というわけです。
本書の「はじめに」にあるように、「取引ノウハウ」が惜しみなく公開されている貴重なガイドブックといえます。そのまま引用すれば、「スムーズな取引は顧客からの信用を作り上げる。取引ノウハウとは企業信用のためのノウハウだ」といえます。通販の業界に関わるすべてのジャンル、例えば商品の仕入れやメーカー、物流、決済、コールセンターなど、あるいはそのほかの分野でも大いに参考になる一冊です。
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■発行は、執筆・編集は誰がしたの
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本書の発行人は(社)日本通信販売協会です。執筆・編集は同協会の消費者委員会メンバーによるものです。まさに同委員会のメンバー企業による「時間をかけて練り上げられた各社の取引ノウハウの公開集」といえます。
主な内容は、
「受注」「対応」「配送」「梱包」「返品」「遅延」「品切れ」「交換」「支払い」「商品」「表示」「取扱説明書」「アフターサービス」「プライバシー」「インターネット」についての不満と解決術。「50+3」とは、つまり不満の種類です。お客様からよくある話というわけです。
付録にはスペック事例集、申し込み文例集、メッセージ文例集、SGマーク対象商品一覧、主要消費者窓口一覧、主要検査機関一覧、特定商取引に関する法律、通信販売協会倫理綱領、通信販売倫理綱領実施基準。
本書の読み方について説明すれば以下のようなことです。
1)お客(顧客)のクレームを「不満」という本音の部分で表現し、その
発生要因を企業の立場から冷静に受け止め、顧客の目線に立った言葉
でわかりやすく解説しています。
2)企業が「対応」「処理」と言う言葉の裏には、クレームや問題は起こ
って当たり前、そのための通常の業務の一つ、という企業側の視点に
立つ言い方ともいえます。それをあえて「解決術」と表現するあたり、
協会のヒットです。なぜなら、お客の立場で言えば企業の言い訳や対
応のたらいまわしに終始しがちなことを極力避け、お客本位になり解
決しようという意気込みが感じられるからです。
3)本書の編集上の流れについてお話します。まず、お客の不満が紹介さ
れます。次に「解説」があります。企業側は、なぜこのような不満を与
えてしまったのか、その原因について解説するわけです。不満となる問
題発生の要因を洗い出します。
4)ページは次にその具体的な「解決術」に入ります。不満の内容によっ
て、その発生要因も多様化します。企業の規模や取扱商品によっても解
決手法が段階的に異なるケースもあります。そのため、紹介される解決
術はひとつから二つ、場合には三つの解決術が紹介されることもあります。
5)こうした「解決術」を学ぶことで、通販業務の基本的な事柄や通販ビジ
ネスの置かれている事業環境、将来の顧客となるかもしれないお客の心
理状態がわかります。また、これから通販ビジネスに取り組もうと考え
ている方、あるいは企業担当者の方にとっては、欠かすことのできない
ノウハウ本ともいえるでしょう。
6)通販という業態は、例えインターネットであろうが変わりません。小規
模な企業や個人商店の場合、本書に付いているスペック事例集や特定商
取引に関する法律、主要検査機関一覧など資料は大変参考になります。
7)書店に並ぶ通販の関連書籍を読むのもいいですが、実際の担当者による
こうした実践的なノウハウ本は貴重です。通販実施の会社がお客の本音
を知るうえでも大変参考になります。業界の常識がお客側には非常識っ
てこともあるのです。
通販市場では毎日毎日、様々な商品や仕入れ、注文、発送、入金といった処理作業が行われています。その処理作業は、膨大な数にも上るといわれています。この作業をスムーズに成立させることが、業界がお客様に信頼され続けている証ともいえます。
本書に紹介されている事例は古くても各社の「取引ノウハウ」が惜しみなく公開されている貴重なガイドブックです。スムーズな取引は顧客からの信用を作り上げます。物流や商品開発、カタログ製作などジャンルにかかわらず、通販にたずさわるすべての人に熟読してほしい一冊です。
これからの通信販売の勝ち組の条件は、「商品」企画力はいうまでもなく、購入後のお客様との健全な取引関係を継続させる様々な「サービス」対応力にあります。この点でいかに他社との差別化ができるかが重要なかぎだと言うことは言うまでもありません。こうしたテーマは普遍的なものであり、押さえておくべき一冊と言えるでしょう。
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