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長年流通、特に通販やコンタクトセンターを専門に取材活動を続けてきた実績より、市場動向や「顧客満足」に向けた企業の活動など事例を中心にお伝えしていきます。

JDM News.net   代表  流通ジャーナリスト 塩田信夫

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【第9回】低料三種郵便の悪用がもたらす企業の損失とは

2009年05月25日|コメント(0)トラックバック(0)

POINT

『トップダウン企業にありがちな失敗?』
『本来のコスト削減とは視点が違う』
『社内コンプライアンスの見直しが必要』

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■トップダウン企業にありがちな失敗?
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 障害者団体が発行する低料第三種郵便の割引制度を不正に利用し、大量のDMを発送していたとして、新聞でも大きな報道となり逮捕者も出ている。

 毎日新聞によれば、不正利用企業は10年以上前から横行しており、利用企業は50社を超えると言うではないか。
 実は私の手元にも、ある第三種郵便認可の情報紙がある。04年夏に発行されたものである。福祉・健康・環境の実用情報「○○通信」という題号の付いたタブロイド版新聞である。年間購読料はわずか1,000円、心身障害者と家族の方の年間購読料はさらに安く100円とある。

 この情報紙とともに同封されているのは、ある化粧品通販会社の商品広告である。福祉関係の情報紙は一色の地味なつくりのもの、化粧品通販のものは、コート紙4色のお洒落な広告となっている。

 このふたつの印刷物が、化粧品通販会社の社名入りの封筒に納められ、低料第三種郵便物で送られていたのだ。

 それがなぜ私の手元に残っていたのか。それは4年ほど前のことだ。
ある印刷会社の営業担当役員が、低コストでDMが大量に発送できる方法があるが、通販会社を紹介して欲しいとの依頼があったのだ。
さらには、販売代理店として営業してほしというものであった。

 何年も前からこの低料第三種郵便を利用してDMを出している会社があることは知っていたが、通販協会に加盟している企業を含め常識のある企業がこうした手法を悪用してDMを出すことなど考えもしなかった。


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■本来のコスト削減とは視点が違う
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 DMや第三種郵便取扱いについて多少の知識があるものなら、この手の手法は違法であり、企業の社会性やイメージを考慮すればまず、手を出す通販企業はありえないというのが、当時の思いであった。

 それゆえその印刷会社の担当者にも「通販会社でこの第三種郵便を利用してDMを出す企業などない」と言い切ったのだ。

 印刷会社からの当時の営業資料には、「DMの費用対効果を飛躍的に向上させる画期的戦略「福祉新聞第三種DMシステム」とうたっている。
 その理由として「身体に障害を持つ人たちの活動を知ってもらうため、民間の企業としての広告タイアップという協力を得て全国規模で認知促進キャンペーンを展開している」とある。この郵便を利用することで、「企業の社会貢献による会社のイメージアップへつながる」としている。

 120円の発送費(定形外郵便50gまで)が8円、日頃DMコスト増に嘆いている企業や担当者にすれば、嘘のような夢の話に思えただろう。

 当然、この制度が承認される条件として発送の8割以上が有償で購読されていることが条件となる。それに対し、この制度を悪用した企業は自社保有リストで何万、何十万の単位で発行していた。その差額は何億円にもなるのだから、非難されても仕方がない。「貧すれば鈍す」など、陰口をたたかれても「身から出たさび」である。

 各企業の担当者の言い訳はどうか。
 各新聞の報道によれば「認可を受けており、法的に問題ないとの説明を受けた」「健康に関する情報を掲載した刊行物を同封することで低コストで発送できる」「障害者向けの郵便割引制度を利用するとは告げられていなかった」「違法性の認識がなかった」とある。いちおうには信じがたいいい訳である。

 こうした利用者側の言い分を聞いても首を傾げざるを得ない。通常120円の郵便物が、8円になる。例え半額にしても異常な低料金に疑いの目を持たなかったのか。持たないほうがおかしい。


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■社内コンプライアンスの見直しが必要
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 企業のコンプライアンスが厳しく問われ、各社が担当部署を置いて、社内の独自ルールと合わせ遵守するべく、指導されているはずである。

 郵便制度上悪用は明らかであるが、罰則規定は極めて軽い。郵便法によれば、「郵便料金を不正に免れたことがわかっても罰則は30万円以下の罰金にすぎないのだ。今回この不正利用で各社は何億円ものコストを浮かしているが、やり得といわれても仕方がない。

 キューサイは、この問題が新聞で取り上げられ社会通念としても企業として恥ずべき行為であることは認めているが、相変わらずテレビCMは放映されている。
同社のテレビCMはイメージ広告ではない。顧客獲得を目的にした通販広告である。集客のための広告を中断するわけには行かない事情があったからだろう。

 それにしてもである。商品を手にとって見ることができない消費者は、何を判断材料にして商品を購入するのか。テレビで宣伝するくらいだから、知人から進められて、商品情報の確かさ、企業の社会的貢献に感心してなど、様々な要因がある。

 売り手としては、この要因のなかで一つでもマイナスになることは避けなければならない。これまでもいくつもの企業が、誇大広告や原材料詐称、個人情報流失などで営業自粛に追い込まれるなど、社会的制裁を受けている。確かに数年前のことかもしれないが、あらためて企業理念が問われる事件である。

 通販の場合、消費者や顧客との相互関係、信頼関係が損なわれてはいっときのイメージ低下では済まされない。利益の大きな損失につながるのだ。それゆえコンプライアンスのあり方が重視されるのだ。

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