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長年流通、特に通販やコンタクトセンターを専門に取材活動を続けてきた実績より、市場動向や「顧客満足」に向けた企業の活動など事例を中心にお伝えしていきます。

JDM News.net   代表  流通ジャーナリスト 塩田信夫

【第72回】「ほぼ日」の株式上場に思う
人はおもしろく、共感すればそこに場が生まれ、人が集まる理屈になる

2017年03月22日|トラックバック(0)

POINT

『糸井重里氏の思い』
『共感が育てた「ほぼ日手帳」』
『「ほぼ日」におけるネット通販成功のキモ』

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■糸井重里氏の思い
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 タイトルにあげたのは今月16日にジャスダック市場に株式上場した「ほぼ日」の行動指針の一節を要約したものである。代表である糸井重里氏は著名なコピーライターであり、作家であり、マーケッターでもある。

 彼があるインタビューに答えていた。自社のサイトについての質問だった。
「通りに例えるなら銀座通りを作りたい。人通りが多ければ、そこに自動販売機を置けば中には買ってくれる人も出てくる」
今まさに糸井氏のサイトのそれは「銀座通り」のごとき賑わいを見せている。


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■共感が育てた「ほぼ日手帳」
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  私もこれまで糸井重里氏の「ほぼ日刊イトイ新聞」やサイト上で紹介されていた商品企画について何度か取り上げてきた。私自身がファンだったからでもある。当初は上場会社としての同社のこれからのイメージがつきにくい、というのが正直な感想であった。

 事業内容と売上げ規模に触れておこう。ビジネスモデルの中心になっているのが「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトである。ほぼ日手帳をメインにオリジナルの文具や日用雑貨の企画販売、糸井氏のエッセイや著名人との対談、インタビュー記事などが掲載されている。

 売上規模はどうか。2016年8月期の売上高は38億円、経常利益は5億円である。そのうち約7割の26億円を「ほぼ日手帳」で占められている。販路別で見ると直販が6割の24億円で、「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトがネット通販として柱となっているのが分かる。

 日本国内で1年間に販売される手帳は1億冊といわれている。そんな中で「ほぼ日手帳」の発売初年度の2002年は1万2,000部。2016年では61万部となっている。一般の小売業感覚でいえば、手帳という季節商品に頼っていると不安視する向きもある。(数字はすべて上場の際に公表された報道から抜粋)

 しかしヒット商品の「ほぼ日手帳」は単なるスケジュール帳ではない。日常の予定や記録はときには個人の日々の成長記録であったり、目標に向けての達成管理、それぞれ個人の使い方や思い入れが反映できるものとなっている。手帳の使い方、思い入れがこれほど多様な表現が可能となること自体が画期的な商品である。

 糸井氏の感性や視点に共感する読者なり消費者の支持を受けていることが好調の要因であることが理解できる。同社スタッフの思うところ、考えるところに「これいいね」と感じられる商品を提案、売り方を考えていく。小さなヒットが大きく育って事業の大きな柱となったのだ。


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■「ほぼ日」におけるネット通販成功のキモ
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 ほぼ日のサイトの大きな特長は広告を掲載しないというポリシーを貫いていることだろう。掲載記事や商品コピーにも糸井氏のユーモアとほんわかした雰囲気が漂っている。気さくな糸井氏の語り口が商品コピーにも反映されている。そうしたサイトの最強の武器がほぼ日イトイ新聞であり、糸井氏本人の魅力によるものが大きいことが分かる。

 見方を変えれば、代表者の魅力や才能に頼る会社運営、商品の偏りを危惧する声もあるだろう。しかし、企業の成り立ちと成長の過程を見ても分かるが、それぞれ創業者の思いや企業風土の健全な熟成の結果、継続性のある優良企業として育っていくものである。

 リーダーとしての糸井氏に共感し、企画・開発の役割を担っていくスタッフの育成が奏効し、現在の「ほぼ日」がある。人気のネット通販に共通していることだが、作り手の思いや考え方がよく出ているサイトには必ずファンがいる。ファンとの関係性を大切にし、期待の傾向を探ろうという努力をしている。ネット通販成功のキモともいえるものなのだ。

 

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