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長年流通、特に通販やコンタクトセンターを専門に取材活動を続けてきた実績より、市場動向や「顧客満足」に向けた企業の活動など事例を中心にお伝えしていきます。

JDM News.net   代表  流通ジャーナリスト 塩田信夫

【第66回】注目したいクラウドファンディングの可能性

2016年01月19日|トラックバック(0)

POINT

『拡大・様変わりするクラウドファンディング市場』
『ベンチャー企業の新たな資金調達の手法として期待』

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■拡大・様変わりするクラウドファンディング市場
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 先日、朝刊で見た「クラウドファンディング」の記事に少し驚いた。
「クラウドファンディング 自治体の財政補う」の見出しが目を引いた。各地の文化財保護のために、ネットで寄付を募集しているという記事である。
「文化財の修復や保存、復元にネットで賛同者の寄付を募るという手法が広がりつつある」と、朝日新聞朝刊で紹介されていた。増えるどころか財政難で減らされる補助金を補い、費用を捻出しようという背景がある。

 記事からいくつか紹介してみる。
大阪府泉佐野市は江戸時代初期に建てられた泉州最古の農家「奥家住宅」(国重要文化財)の保存修理費のクラウドファンディング(以下CFに略)をはじめた。ふるさと納税に組み込み、1万円以上の寄付に特産品のタオルなどを提供するというもの。目標額500万円のところ690万円(149人の賛同者)が集まったとのこと。

熊本の阿蘇神社の宮司・阿蘇家に伝わったが戦後に行方不明となった宝刀「蛍丸」の復元のために募集すると、わずか5時間で目標額の550万円を達成したというから驚きである。

 記事によれば文化庁では国が指定する国宝・重要文化財の保存・修復の補助率は50?85%とほぼ半額程度という。未指定文化財は所有者の全額負担となるらしい。
一方、目標に届かない例もある。奈良県の県指定文化財、達磨寺の方丈の修復費3千万円を目標に設定したが、昨年12月までに集まったのは72人からの33万円だったという。設定期日までに達しないと計画は中止され返金される。

 これまでCFといえば、音楽やアート、映画製作、写真、伝統工芸、スポーツ、デザイナーズブランド、紛争地での平和活動、被災地での生活支援活動などが一般的だったと思っていたが、普及・市場拡大に伴い様相も変わりつつある。

 改めて市場規模を確認してみた。矢野経済研究所の発表によれば国内のCF市場は新規プロジェクト支援額ベースで、2014年度は197億1200万円(前年度比59.5%増)と拡大傾向にある。

 調査では「東日本大震災を契機に、2011年以降、寄付を募るプロジェクトから認知が進み、社会貢献性や共感性の高いプロジェクトが多数起案されてきた」ことが背景にあるとしている。

 2014年以降は「貸付型」が大きく寄与したという。同発表でも購入型が約20億円、寄付型が約1億円、投資型(ファンド型)が約19億円、貸付型が約156億円であったという。貸付型が全体の79.2%を占めていることになる。


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■ベンチャー企業の新たな資金調達の手法として期待
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 三菱UFJ信託銀行の調査では、CFの分類を寄付型、購入型、投資型と分類している。投資型は金銭的な対価がある調達方法であり、さらに融資型、投資型、株式型に分類している。

ここでは細かな説明は省くが、これまで特定のプロジェクトやアーティストの創作活動、映画製作、被災地支援など多様な資金需要に活用できるため注目されて成長してきた。金融機関への信用力がなく、資金集めが困難な若手創業者にとっても有効な手段として期待されてきた。

 意外に投資型CFの成長が顕著である。その背景について確認した。政府の成長戦略である「日本再興戦略2013」においてCFの枠組みを検討することが示されたのだ。これを受けて金融審議会は投資型CFにかかる制度整備について検討してきたのだ。また、国土交通省は2014年にCFを活用したまちづくりを推進するための支援制度作りを行っている。
地域活性化資金を集める「ふるさと投資」が内閣官房を事務局として地方公共団体、地域金融機関や仲介事業者によって推進されているのだ。まさに官民挙げての取り組みである。

 正直に言って、CFの環境が様変わりしつつあるとは知らなかった。いずれにしてもインターネット上のプラットフォームを通じてたとえ小額であっても不特定多数の人々から出資を募ることができる仕組みがあること、政府もその仕組みを多様な資金重要のシステムとして制度化しつつ成長戦略の一環として拡大の一翼を担っていることは確かだ。

 今後、誰でも等しく、自分の夢に挑戦し、その思いを共感してくれる人との出会いが新たな商品やサービス、地域貢献が可能となる。新しいお金の集め方であり、お金の使い方である。ネットの検索機能、情報収集力、情報発信力、スピード感が新しい金融の仕組みを構築したともいえよう。


 

 

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