マーケティング
【第20回】フルフィルメントで媒体、顧客、商品をどうつなぐか(4) もう一回「商品は'商品'」だけ?
POINT
『1.加工と言うこと』
1)印鑑という商品をご存じ
2)表に見える仕組みはどうなっている
3)幾つか事例を見てみよう
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■完成品ではない商品だって販売することができる
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前回は商品の見せ方でエキサイティングな紙面作りができると言うお話をさせて頂いた。テーマは「セット」と「頒布会」だった。
今回は
「今自分の手元にある完成品ではない商品だって販売することができる」
と言うことについてお話しさせて頂こうと思っている。
これから述べる、商品の見せ方についての手法は、古典的通販企業ばかりが利用しているのではない。インターネットを利用した、比較的新しい通販企業も知恵を絞って開発し、実施し、完成させている。そのことによってすでにその実効性が証明されている手法である。
皆さん方単品通販の企業でも いろいろな現場できっと応用可能だろうと推測する。是非工夫し、実験してみて頂きたい。
ただし、フルフィルメントの仕組みは あたかも他の単品を販売しているような、違和感の無い技術が求められる。あわせてその工夫も考えてみよう。
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■1.加工と言うこと
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1)印鑑という商品をご存じ
印鑑という商品をご存知だろうか。
それぞれの家庭で重要な生活用具であったし 又現在も多くの場面で活躍している。言うまでもなく本人確認の最終的ツール、つまり印影としても厳然と有効である。 とにかく今でも役所がその本物性を証明してくれるようなそんな存在である。
しかも、自分の成長と一緒に育って行くものだ。
私が初めて自分の印鑑を手にしたのは、中学卒業の記念に、新宿区から(多分)贈られた印鑑だ。爾来実印から銀行印、会社での認め印、訂正印、蔵書印と変化しながらも今でも幾つかは手元からはなせないでいる。
こんな愛おしい印鑑、何処で手に入れるか。
実はどこの街にでもある小さな判子屋さん。そんなに広くない店頭に結構良い商品がならんでいる。
そして通販。今や通販の方が多いのではないだろうか。
いわゆる三文判というのは認め印では「あり素材」に文字の刻印をすませた、完成商品として店頭のケースに陳列している。従ってケースあたり数百本の単位だ。
お客さんはその中から自分の姓名を見付けて買って行くだけだ。
しかし、実印、銀行印、会社印という高価な商品から何を購入するのだろう。
確かに印鑑という商品は象牙や柘植の木、水牛など素敵な素材が多い。しかし本来の機能は'印影を移し写す'というということだ。素材もさることながら、印鑑を押したときの印面、それを買うのだ。だとすればその印面を作るという作業があり、しかも それは一つ一つ全部異なるデザインのはずだ。
この一つ一つ異なる印面を一人1人の顧客に向けて行うのが通販で言う「加工」だ。完成した商品ではなく、素材や素材に半加工した製品に、また個客に固有の本加工を施し完全商品として販売すると言うことだ。
そこで そのひとにとって価値のある、別言すればその人にのみ価値のある商品が出来上がる。
いわばワンツーワンマーケティングで言う差別化だし、最終のカストマイズと言える。
2)表に見える仕組みはどうなっている
売買に加工という工程が入るとすれば、いわゆる単純な通販の売り買いとは異なる仕組みが必要になる。
それはこうだ。
受注を受けた通販企業が、その商品を仕入れている企業(通常メーカー例えば印鑑製造屋さん もしくはデザイナーさん)に対して加工内容を伝え、メーカーが指定の素材に指定の加工を施した後に直接個客に発送する仕組みだ。
もう少し細かく見てみよう。
・まず個客から注文が来る。
その注文には品番、数量以外に加工の指示が添付されている。
口頭の場合もあるだろうし、個客から形態を細かく指定される場合
もあるだろう。あるいは紙で伝えられる場合もあるに違いない。
・注文を受けた通販企業はメーカーに対してその加工の内容を添付して発注する。
これを加工依頼と言う。デザイナー物であればデザインの工程が入り、加工が
終了した商品はいったん通販業に返されるのではなく、直接個客に送られる、
直送依頼が指示される。
・メーカーは 加工終了後 個客に直接完成品を送付する。
同時にメーカーに対して出荷連絡を行う。
・通販企業は、メーカーの出荷連絡をもって納品完了として個客に対して請求をたてる。
どうだろうか?。
今までの通販のフルフィルメントプロセスは比較的単純で、個客と通販企業の間のやりとりであったがここで加工メーカーと言うのが入ってくる。
しかも通販企業には商品の入荷も出荷も発生しないのだ。
このような仕組みを作っておくことによって 例え半製品の商品でも販売することが可能になる。今まで自社の商品は通販に向かないと思っていた商品も、もう一考を加えてみると意外なところに道があるものだ。
3)幾つか事例を見てみよう
<Tシャツでは>
まずはTシャツだ。私の古い友人でのあり、このコラムでも素晴らしい文章を披露していた
T-galaxy.com の久米信行さんの久米繊維さんだ。
久米さんは、実は大変古くからネットで商品流通の可能性をトライして来て今日の実績を作り上げた人だ。
取扱商品は なんとTシャツ、しかも国産、オーガニックコットンに拘る。
むろん自社ブランド物のTシャツも販売するが、自社ブランドだけ扱っていたのでは決して今日の完成された姿は無かろう。
肝(きも)はあくまでも個客の個性。それが個客特有のデザインから紡ぎ出されて行く。その個客のこだわりを表現するために 個客が自分でデザインしたTシャツを一着ずつ手作りする。
一度サイトを覗かれることをお薦めする。
◆Tシャツでつながる【T-galaxy.com】久米繊維工業
http://www.t-galaxy.com/
<生花では>
生花を通販でリクエストするケースは決して少なくない。
何しろ日本の通販の魁(さきがけ)は「植木屋さん」の農村に対する種苗の通販だったのだから。
今では家庭用、店舗用、オフィス用を問わず、慶弔、誕生日、お悔やみにも通販で生花が売り買いされている。
これもやはり加工が入る。
生花の場合素材はあくまでも花であり、加工とはその花を如何に盛るかと言うこと、つまり盛り花のデザインだ。これによって商品の半分の価値が決まる。
通常、通販企業は花をデザインするデザイナーを数人確保しそれぞれ得意な分野のいけ方を個客に提案する。それを見て個客は自分なりの考えを加味して発注するわけだ。発注を受けたデザイナーは花の種類と用途をベースに自分のセンスと個客の注文を傾注して生ける。そして指定日、時間にお客様に届ける。
<ガラス装飾品>
女性なら何方でも気にするのが装飾品。その装飾品の一つの素材が「ガラス」。
ステンドグラスを作成する通常の作り方の 一つの技法として「フュージング」というのがある。いわば窯焼だ。
自分が表現しようと思うイメージのままに 各種の色彩のガラスを組み合わせカットし 750度から800度で焼き上げる。徐熱も段階的に時間をかけることによって色やカットに独自の変化が産まれる。これをネックレスなどに応用する。
だから、類似品はできても基本的に絶対単品だし、リクエストによって、絶対コピー商品はできない個性的商品が生み出される。(ただし、これは友人からの受け売りではあるが。)
印鑑という商品の加工と言う仕組みがこのようなカタチで発展し、一つの姿になっている。
インターネットの双方向性や対話、イメージの送付、巨大なファイル容量、通信の高速性等々の機能がその可能性を醸成している。これを旨く使いこむことで多くの単品通販ビジネスに貢献できるだろう。
ここでちょっと「デザイナー物」に注意が必要。原価の管理だ。
デザインを強調する余り、あまりデザインにコストをかけすぎると利益を圧迫することになる。
無論デザイナーに個客が付くのに異論は無い。個客はデザイナーを指定して費用を払うが、通販企業にとってデザインそのものは新たな費用だ。 素材に付けた付加価値=デザインコストなので 従来の仕入れ値で販売する訳にはいかない。その軽重を図らないと思わぬ欠損を見る。
加工と言うことについて述べさせて頂いた。いかがだろうか。
もう一度言いたい。
貴方の会社の何処かに、今は完成品ではないが個客と一緒になって完成品になる商品素材は無いだろうか。
ぜひ、ご検討されることをお薦めする。
お詫び。すみません。
前号で予告した「よりどり」については次号に記述させて頂きます。
以下続く
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