マーケティング
【第19回】フルフィルメントで媒体、顧客、商品をどうつなぐか(4) 商品の販売の仕方に見る工夫
POINT
『商品は‘商品’だけ?』
『商品の組み合わせで‘セット’に仕立てる』
『シリーズ商品やリピート商品を頒布する』
──────────────────────────
■商品は'商品'だけ?
──────────────────────────
ここでちょっと商品に目を向けてみよう。
商品といえば顧客に販売する'物'としての説明は、このコラムでも相当解説させていただいたと思う。それでは「商品の解説ではない'商品'の考え方」があるのかということになる。
実はあるのだ。商品といっても、今まで述べてきたいわゆる販売を目的とした商品ではない。又その商品をどうメディア上で見せるかでもない。
ここで述べたいのは 商品を通じていかに複合的な価値、購入の楽しさ、小さな驚きなどを提案できるかということだ。
1)個々の商品を組み合わせることによって、どうやって新しい利便性や魅力を生みだし
提案出来るか。
2)多くの商品の中から、一定の価格で、複数の商品を自分の目で選択するという
購買の楽しさをどう持って頂くか
3)送られてくる、次の回の商品が今見えず、手にしてみるまで分からない、その楽しさ、
商品を手にしたときの小さなビックリをいかに演出できるか
である。
これから述べる手法は、通常の通販企業が長年に亘って開発し実施している手法である。
いわゆる単品通販の企業でも きっと応用可能であろう。
ただし、フルフィルメントの仕組みはあたかも他の単品を販売しているような、違和感の無い技法が求められる。あわせてその工夫も考えてみよう。
──────────────────────────
■商品の組み合わせで'セット'に仕立てる
──────────────────────────
一般的に単品通販は、その性格上一つ一つを別個の商品として販売するのが普通である。
もしくは複数の商品を一つずつ扱うのが得意である。
通常の通信販売の仕組みの中でセットとして販売する手法があるのをご存じだろう。
セットというのは、「複数の異なる商品を1つ以上組みあわせ、新しい一組の商品として販売する事である」とでも言えようか。
つまり通常の販売では販売単位が1つ1つの商品であり、その単位で在庫している。しかしその商品群の中から、お互いに関連のある商品を幾つか組み合わせる事により、新しい提案を行える商品として組みあわせるのだ。
今、私の手元にジャパネットたかた社の2月6日配布のチラシがある。(いつも参照させて頂いてすみません。)
提案されている商品の中に掃除機がある。
「サイクロン掃除機」はその掃除機本体だけが販売単位になっている。当然価格はその商品に関するものだけということになる。ま、これが普通の販売の仕方だ。
一方その上の段に、富士フィルム社のデジカメがある。こちらはデジタルカメラ本体ばかりでなく、複合プリンタ、4GBのカード、3色のカラーインク、L版フォト用紙、A4版用紙が一緒になって売られている。「豪華セット」と銘打って29,800円という販売価格が付けられている。
つまり6つの商品が一つの価格で提示されているのだ。当然個々の商品に価格は付いていない。
またセットと言われる本体以外の商品が単品で売られているかどうかもこのチラシだけでは分らない。
これだけの商品が、揃って一度に手に入るならば、手にしたその瞬間からカメラが持っているすべての機能を手に入れることになろう。カメラ本体だけ買ってから、メモリーカードが無かったり、要領が少なすぎることに気付き 慌てて町の写真店に走る必要はもう無い。この便利さが顧客の買う気を誘う。
ちなみに本体のセットとして充電式バッテリーとバッテリーチャージャー他が付くが、これはメーカーが本来、商品として付加しているセットだ。これをメーカー・セットと呼ぶ。今、我々が問題にしているのは、通販企業が独自に組み合わせるセットだ。これを流通セットと呼ぼう。
おまけにこの価格だ。全国限定5,000セットと言うが、これで売れないわけはない。
一方、その下の段、シャープのテレビ アクオスを見れば、本体のテレビに対して、ブルーレイのディスクレコーダーと3.1CHのオーディオラックがセットとして付く。たしかこの商品はテレビ単体でも販売しているはずだ。つまり、ディスクレコーダー、オーディオラックがセットにならない場合もあるということ。テレビやレコーダーが個別に販売され売れ数がバラバラの場合、つまりセットが無いときには個別の在庫として残ってしまうことになる。
もう一つ考えておかなければならないことがある。
このような仕組みの場合、フルフィルメントの処理を複雑にしてはならない。セットの為のコードを2重に打ち込んだり、単品コードを一つずつ入力してはならない。あくまでもそのセットを現わすコードはユニークであることが望ましい。
受注オペレータはチラシに記されている商品番号をクリックすればそれで入力が完了する仕組みにしておかねがばならない。
流通セット、このような顧客に便利な方法は必ず、企業側の努力が必要なのにお気づきだろうか。
その在庫管理の方法も工夫がある。
物流過程においても 単品としても、セット商品としても同時に管理できるようにしておく。 つまり実際の在庫は一つなのに複数の商品として管理できる仕組みが必要だ。
通常システムでは
セット=親
単品=子
という関係で見ることが必要だ。
セット商品は代表する親として、単品はそれを構成する子として管理するのだ。
例えば今ある商品がA,B,Cという3つの単品で構成され、セットをZとして管理していたとする。 そしてZはいつでもA,B,Cに分解することを可能にしておく。A,B,Cにいまそれぞれの単品での在庫有り高が管理されている。それをAを5ヶ、Bを10ヶ,Cを15ヶとしよう。この時のZは5になる。なぜならば単品展開したときの最小在庫数はAの5ヶだからだ。5ヶ以上のセットは構成できない。
セットで注文が1つ来ればZから1引かれ、同時にA,B,Cから1づつ引かれる。
逆に単品で注文が来たときは、在庫があればその単品から減じ、あわせてセットからその数だけ減ずるこんな努力をする必要がある。努力といってもシステムの中だけの話だが。
このような仕組みを作り込んでおくことによってセットという売る側も、買う側も楽しい仕事が出来るのだ。
貴方も是非 貴方の商品でセットが使えないか工夫されてみてはいかがだろう。
──────────────────────────
■シリーズ商品やリピート商品を頒布する
──────────────────────────
今回、もう一つご紹介しよう。頒布だ。
今、健康のための食品が大変ブームになっているのはご存知のとおり。その他'取れ取れ野'や'地産地消'。健康ばかりでなく食品一般がいよいよ通販の前衛になってきた感がある。ただ、今の仕組みはちょっと使いにくい。ユーザーから言えばがっかりするような陳腐さだ。
例えば、健康食品は購入分を使い切ったらそれで終わり、ではないはず。鎮痛に必要だったり、関節の栄養補給だったりすれば常用をお薦めするのが販売側の論理だ。ならば自動継続の仕組みがあって当然だ。回数付き、月コントロール付きでも構わない。
しかし、残念ながら毎月毎月消費者が「よっこらしょ」と自分で注文しなければならない仕組みがまだあるようだ。
'頒布'というのは決して自動発注の為にある仕組みではない。
私の記憶では古く終戦後、千趣会社さんが会社勤めの女性達の為に、「クック・ブック」という調理カードを毎月定期的に販売したのが定着した、と思っている。
同一ジャンルの商品を、1回の注文で、一定の間隔で、自動的に届け、支払いは毎月清算。
例えば「ブランド物のデザイン・ハンカチ・セット」を毎月お届けし、10回になったら止める。商品金額は毎月一定ではなく、その時の商品仕入れ値によって変ることもある。商品お届けの度に請求し売上を上げて行く、というやり方である。
送られてくる商品が見えている場合もあるだろうし、見えない場合もあるだろう。忘れていた頃、申し込んでおいた商品が届く。気に入った商品が来たときはどんなに楽しいだろう。待たされているという軽い緊張感、商品に対するほんのちょっとの不安感、そして実物を見た時のちっちゃな解放感。
きっとそんな楽しさがあるのだろう。
管理のポイントは頒布の月と頒布の回数だ。例えば、顧客は最初の回、月に申し込んでくれるとは限らない。回数と月がペアになっていて開始日、配送商品、配布終了日をコントロールする。
通常 頒布途中での申し込みに対しては、初回から申し込み月までの分を届ける仕組みもあるが、単品通販では適宜応用すべきである。
次回は「よりどり商品とその他」について。
以下続く。
トラックバック(0)
・このブログ記事を参照しているブログ一覧:
【第19回】フルフィルメントで媒体、顧客、商品をどうつなぐか(4) 商品の販売の仕方に見る工夫
・このブログ記事に対するトラックバックURL:
http://www.scroll360.jp/mt/mt-tb.cgi/1386
新着記事
- 2010.02.22
- 【第14回】ツイッターをはじめるまえに
- 2010.02.22
- 【第17回】ネット普及でさらに買い手主導の時代へ
- 2010.02.22
- 「不毛な時代に伸びるネット通販のキーワードは エンターテイメント !」他
- 2010.02.09
- 【第6回】顧客主導型マーケティングの時代







コメントする