マーケティング
【第15回】単品通販のサービス「フルフィルメント」返品はどうして発生し、どう処理するのか
POINT
『尤も嫌いな言葉筆頭 ”返品”』
『返品はどのくらいあるか』
『返品のコスト負担は誰がするか』
『物流ではどう処理するか』
『返品はなぜおこる』
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■尤も嫌いな言葉筆頭 "返品"
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返品という言葉は通販をされる方々から言わせると 尤も嫌いな言葉筆頭であるそうな。
それはそうだろう、いかなる理由があろうとも自社商品が、ある意味では個客もしくは見込み個客からはっきり否定されたのだ。従って後処理はどうしても後ろ向きになり、あまり語りたくないこと、議論したくないことになりがちだ。
しかし、実はこの返品ほど多くの改善を提案してくれる機会はない。
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■返品はどのくらいあるか
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返品を云々する前に、一体返品とはどのくらいある物なのだろうか。JADMA(日本通販協会)の資料を調べてみよう。
ザックリ言うと2007年度で全体平均2.5%である。つまり100個送った商品の内2.5個が何かしらの理由で帰ってきたのだ。
業種別に見てみよう。専業(通販しかやって居ない企業)の返品率が2.9%、兼業(他にビジネスを持っていて、ついでに通販をやっている企業。もしくはその反対)は2.0%である。
簡単にいえば「通販プロ」よりも、「通販ついで」の方が返品が少ないということだ。
皆さんの企業はどうだろう。
これから単品通販を始めるには、2%前後の返品を頭に入れながら仕組みを考えていかねばならないと言うことになる。
別の表現をすれば、利益 2%以下ではビジネスにならないと言うことだ。
しかし私は、数値的には、まあそんなものかなと言うのが直感である。またこの数値はここ数年変らないのではないかと思う。
返品率が3%以下であればさほど目くじらを立てて云々する必要はなかろう。 と思うが・・・・・・。
実はその裏に隠れている大きな数値がある。それは売上別に見た返品率だ。
売上100億円以上の通販企業の返品率が何と6.7%あるのだ。
これは何を物語っているのだろう。
売上100億円以上の売上と言えば中堅以上だ。むしろ「通販プロ」と呼びたい。そこの通販が7%前後とは驚く。
この7%と言う数値には記憶がある。
いつ頃の事だったが忘れたが、米国の通販企業を訪問しそこで通販返品が幾らあるか問うてみた。その時出た回答数値が上限が15%位、平均で7%位であった記憶がある。
ただし10年以上も前の話だが、この時の平均の数値に今や日本は近づきつつあるのかと思う。
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■返品のコスト負担は誰がするか
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企業にとって返品はノンコストではない。
個客との対応でオペレータの人件費がかかるだろうし、回線使用コストもかかるだろう。
しかし一番大きいのは送料だ。つまり、個客から帰してよこすコストだ。
昔から、通販企業と個客のコスト負担は議論されていた。しかし一応、支払手数料と物流コストは個客負担と落ち着いてきていた。
ところが返品は違う。返品にはそれなりの理由がある。その理由別に返品コストを負担しよう、と言うのだ。通販企業にとっては エイエイオーだ。
例えば通販企業側の責任に拘わること
・商品が違っていた
・汚破損品だった
・個客のイメージと全然違っていた
例えば個客側の責任に拘わること
・悪意で発注していた
・別の商品を発注していた
・肌に合わない
・イメージ(ことに色、柄)と異なる 等。
ここで大原則だ。(註:別に法律で決まっているわけではないが。)
返品に関する配送コストは返品責任のある方が負担する。
つまり企業側は自分達が悪いときだけ返品コストを負担すれば良いのだ。
これで今まで一方的に負担していたコストのいくらかは軽減出来るし、また、むやみな返品を押さえることが出来るというものだ。
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■物流ではどう処理するか
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個客側から言えば気になるのは送り返した商品の処理だ。そのまま捨てられてしまうのか、はたまた再生されるのか。
実は返品された商品はこんなプロセスで処理されるのだ。
・普通、個客から返品の依頼がある。むろんこれを受けるのはオペレータだ。
一定のルールに従って、返品止むなしと判断すれば、コスト負担元を決める。
これが返品依頼の発生だ。システム上登録され、物流センターにも「やがて返品があるよ」と連絡される。
返品予定が +1 される。
・顧客責任であれば、顧客は返品商品の梱包を自分でして物流センタに送り返す。
配送コストは自分持ち。
・物流センターでは、予定していた返品が来たよ、と言うことで、内容をチェックした上で受けとる。
ここでよくあるのが
・誰が送ってきたか分らない(しかも着払いだ。)
・よく見たら自社の商品じゃないヨ。(オペレーターも欲確認して下さいよ。)
これらをパスすれば、 これで返品は確定した、つまり返品確定だ。
返品予定が?1され、返品倉庫が+1される。
ではこの商品は何処に保管されるか。
実は物流センターには返品保管棚(返品倉庫とも)というのがあるのが普通だ。
あらゆる返品商品は一時この棚に保管される。
・その上で定期的にこの商品の具合をチェックする。
その方法は、かなり綿密だ。
アパレルであれば、素材品質、副資材、縫製、梱包などなど。
そしてまだ商品として使用出来るとなると、これを良品として通常の商品棚(もしくはピッキングヤード)に移す。返品で帰ってきたが品質的には良い品物だと分かった、つまり「良品転換」だ。その時点で返品倉庫が-1され、商品在庫(良品倉庫)が +1 される。
つまり、もう一度販売しても良いよということだ。
・本当の不良品は廃棄処分だ。多分他の商品と裁断されるだろう。
ものによっては品質管理に回される。そこで徹底的に調べられる。場合によってはメーカーもしくは製造元と協議と言うことになる。
気になるのはそのチェックの度合いだ。
最近、一度しか着用しない式服は使用期日に合わせて送品させ、結婚式で一日着用の上次の日に、何かしらの理由を付けて返品、という手口が横行していると聞く。
これら返品と言えど、多分ほとんど良品だろう。むしろ「一日借り」と見破るのは難しい。
単品通販では特に良品転換に気をつけなければならない。
例えば化粧品の場合、丁寧に蓋を開けてちょっと使用し、そのまま蓋をして締めておけば気が付かないと言う。
これをうっかり良品転換すればそれが顧客に配送され、また大騒ぎになるのは必定だ。
昔はいろいろと悩まされた。その結果産まれたのが「封シール」だ、つまり蓋の上から更にシールで封をしてしまう。これによって封を切らなければ商品は使えないし、封を切れば開けたことが明らかに成すような仕掛けだ。一度開いたら二度と貼れないノリもあると聴く。
ここまでやる必要はなかろうと思うが、良品転換は良い顧客も割り顧客にしてしまう。重々留意したい。
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■返品はなぜおこる
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以上見てきた様に返品は結構なコストと手間がかかる。従ってこれを最小にすることは重要なテーマだ。
理由は幾つか考えられるが比較的多いのが「イメージちがい」だ。
通信販売協会のアンケートによる調査では、相も変わらず、通販の弱点は「見て調べて意志決定する」がダントツだ。つまり安心購入の一部を略しているのだ。確かに見るのはネットや媒体上だし、調べるのはビジュアル、コピー、スペックだ。いずれにしろ抽象的な概念だ。
一方買う側にはその商品に対する概念(イメージでもいいが)が既に上がっていて、その概念に適合する物を極力選ぼうとする。その概念の一部が適合し他の部分が適合しなかった商品が選ばれる可能性も無くはない。いや、むしろその方が多いのかもしれない。
一方マーケター側も、その商品の特徴をより強く説明したいと、気が付かないうちに思っているものだ。その為に提示した概念以外の所で失望感が産まれ増殖することになる。
これを克服するために様々な努力をしてきた。少なくともビジュアルは改善された。質感とも取り組みで大幅に改善された。デザインも印刷も格段に良くなった。既に「茶色のGパン」は世の中に無いはずである。「言葉」で「説明」出来ないものを「見せる」力は段違いに増加してきた歴史がある。
仕組みでも返品の最小化が工夫されている。
前述の「返品票」もその一つ。返品するのに住所氏名を書き直すなどもうあり得ないことだ。
最初から返品を意識した仕組みなんぞ、と言う方がいるかも知れない。
違うのだ。アレは安心感を以て購入して頂くツールなのだ。
そして、究極は「無条件返品可」。 つまり期間内ならどんな返品でもOKと言う仕組み。
確かアメリカ通販の返品もこのやりからだったと思う。その当時通販の返品は定義が曖昧だった。が、今思えば「返品」と「交換」の混在だったのでは無かろうか。つまり、複数の商品を取り寄せて「試着」して駄目だったら「交換」する。これならば7%どころか10%オーバーでも納得出来る。顧客の納得感は大きかろう。
返品をコストと見ずに顧客へのサービスと見る。これが余分なコストを再生するか、顧客の満足を経てリピートという行為に繋がるか。
これから単品通販を始められる皆さんは返品を新しい概念で捉えて頂きたい。
【謝辞】
返品数値に関して
(社)日本通信販売協会発刊の「第二六回通信販売企業実体調査報告書」
を参照させて頂きました。
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