マーケティング
【第11回】フルフィルメントって何だ"仕事を切り回す裏方仕事さ、次は物流という仕事"
POINT
『単品通販の物流の特徴』
『初めは簡単な仕掛けで行こう』
『ある程度受注数がまとまってきたら』
『特に気をつけなければならないのは』
──────────────────────
■単品通販の物流の特徴
──────────────────────
「物流」というと難しそうに聞こえるが、そうでもない。
前回述べた「受注機能」で受けた受注情報に基づき、商品をピッキングし、パッキングし、そして出荷、配送するプロセスだ。通常の卸や小売りでも同様の機能を持っているのはご存じの通り。
では何処が違うのか。
違う点はただ一つ、通常の卸、小売りの物流の殆ど(花王さんみたいに、店舗向けの物流でも単品を扱うところがあることはあります。)が、ロット取り扱いであるのに対して単品通販の物流は個人単位の取り扱いであると言うこと。
つまりメーカーから卸、卸から小売りの物流は全て大きな単位での物流だ。カートン単位であったり、コンテナー単位であったりする。従って比較的機械化がしやすく効率を上げやすい。
しかし、通販や、単品通販の物流は一人一人の顧客対応が要求される。確かに入荷の時点では箱単位で入荷されるが最後は個人単位にピッキングされることになる。
いわばこの大ロットから単品への荷姿の変更、価値の変更が単品通販の物流の特徴なのだ。ロットで入荷された商品が、単品となって個々の顧客に届けられるのだ。この点に単品通販の物流の面白みがあり、また難しさがあると言えよう。
──────────────────────
■初めは簡単な仕掛けで行こう
──────────────────────
むかしアパレル系の通販企業が競って大きな物流センターを構築し、妍(けん)を競っていた時代があった。T百貨店やS通販企業、N通販企業などなど。それぞれ2,000億円とか3,000億円単位の物流が消化できるような巨大なセンターだった。
しかし、この華やかな時代は既に終わりを告げた。
今、尤も売上高の大きい通販企業はベネッセ社でも3,845億円(2008年3月期)と言う 。以下「推して知るべし」だろう。
かつて一度進研ゼミの物流システムを拝見したことがあるが、極めてシンプルなもので感心したことがある。
貴方がもし、これから単品通販に参入するか、もしくは参入して暫くたった方ならこの様な巨大な物流センターは不要だ。なぜなら第一に物流センターの目標が違う。
これから参入する方が実施しなければならないのは、あくまでもテストだ。その一部としての物流だ。
第二に既に通販を開始している企業も、事業開始数年はそんなに巨大な売上になることは無いと思って頂きたい。
テストが目標と言うことは、そのテストの結果が良くなければ撤退もあり得ると言うことだ。テストの評価基準は色々あろう。しかし一般的には売上金額だ。その結果が設定した数値に到達しなかった
ら思いきって参入を止める。所詮、貴方の商品が通販マーケットに向かなかったのだ。
そして物流に関しても、正確な処理で顧客を向いた物流サービスをするためには何をしなければならないかを炙りだすことだ。その結果、無理だったら止める。
いずれにしろ撤退の可能性を秘めている。
その為には出来るだけ小さい仕組みにしておく必要があろう。
二番目。一体どのくらいの量を処理しなければならないのだろう。いつも同じ事例を使用するが、
テスト初年度の売上を5,000万円と設定し、一年250日稼働として平均の売上が(5,000万円 ÷ 250日)で一日の売上20万円。それを客単価5,000円として(20万円 ÷ 5,000円)40件。つまり一日平均にして40件の出荷量だ。
一日40件の出荷量だったらそんなに多くはない。その倍と見ても80件。単品通販だと商品種が少ないので数時間で終了するだろう。
だとすれば先程示したような巨大な設備、施設や要員は不要だ。
そこで提案だが、出来ることなら貴方の身近なリソースを使用して物流の仕組みを組み立ててはいかがか。
もし今別のビジネスをやっていらっしゃるなら、数時間でもサポートしてくれる方や仕組みがあれば幸いだ。その方々に援助していただけば済む話だ。
もしそれも無理ないのであれば、自分の自宅なり、拝借している事務所なりで物流処理を行うのだ。近所のご婦人の方々の明いている時間を貸して頂ければ充分。
そのことによって物流のテストにもなる。欠けていることも理解するし、どのようなことが発生するかも見ていることが出来る。
今を時めく多くのマーケターも最初からしっかりした仕組みでなんか仕事を始めていない。このように小さな手作りの仕組みを土台にしている。
そして徐々に受注量が増し、売上が上がるにつれ仕組みを拡大している。
──────────────────────
■ある程度受注数がまとまってきたら
──────────────────────
2年目は、テストの期間の売上の倍として、先程の計算から考えると平均80件の出荷。
まだ平均の数量としては問題なく処理出来る筈である。
これが倍でも問題はあるまい。
しかし、そろそろ考えておかねばならないのは「単品通販はダイレクトマーケティングである」と言うこと。ダイレクトマーケティングは一次的に媒体を投下して潜在顧客を見付け、ダイレクトな媒体でリピートを売るビジネス。従って媒体の使い方に特徴がある。
取り扱う商品の違いはあっても、媒体を使った直後にレスポンスは集中する。テレビであれば放映後すぐ、カタログであれば3、4日後、チラシであれば当日。つまり投入後、間をおかずに一番多くの注文が来る。いわば特定の日時に注文が殺到するピーク産業なのだ。
従ってこの間に多くの注文が取れて、なおかつ出荷が出来るような体勢を取っておくのがベストであろう。遅くとも2日後には出荷したいものだ。
その為には自社処理以外の方法も含めて考えておくべきだろう。
大体マーケターにとって物流というのは主たる業務ではない。主たる業務は商品を整え、媒体を作り、顧客の管理(獲得、リピート、データーベースマーケティング)をしっかりすることだ。
物流を思い切って外注するのも手だ。
物流アウトソーシングは、冷凍、冷蔵倉庫を必要としない商品であれば昔ほど厄介ではなくなってきている。
多くの通販企業が自社通販の余剰リソースをアウトソーシングに振り向けているからだ。
日常の仕事をこなしながら対応を考えておく必要があろう。
──────────────────────
■特に気をつけなければならないのは
──────────────────────
特に気をつけなければならないのは売上の予定外の伸張だ。
一般的に受注と言うのは、開始直後緩やかに進展する。まあ2、3年くらいは期待通りの数値には到達しないのが普通だ。まだ多くの顧客が貴方の商品に気が付かないからだ。
その後数年間やや鋭角に伸び始める。顧客が目に留め始めたのだ。そしてその後急速に伸びる。絶頂期。飽和点を求めてぐんぐん進展する。リピートの仕組みも上手く回り始める。
そしてやがて頂点に達する。商品が巷に溢れ、多くの顧客が貴方の商品を手にする。そして受注は一時停滞する。
そしてまた緩やかに下がってゆく。競合や、より良い商品が出始めたのだ。
どこかに落ち着く数値があり、やがて横ばいになる。
むろん全てのダイレクトマーケターの売上がこの通りではないし、伸び続ける企業もあろう。
だがダイレクトマーケティングのビジネスの進展には一定のパターンがあるようだ。
特に物流で気をつけて頂きたいのは、この急激に伸びる時期だ。
良い商品だし、ブランドも確立しかけている。このまま伸びるとベストだ。
しかし、それも受注が全てこなせて、の話だ。受注を取っては見たものの、商品供給や物流が機能不全に陥ると大変なことになる。
殊に物流が商品を捌けず受注が滞留し始めると、あっという間に累積されることになる。
入荷は検品が間に合わない。商品は梱包したままで山積みされる。
物流要員は残業、徹夜が続いて疲労。しかし一向に商品は動かかない。
コールセンターでは毎日クレームで「ご免なさい」の電話だ。仕方がない、お客様には遅延やお断わり電話をこちらから入れなければならない。
それでもお待ち頂くお客様には、お詫びに金券を発行する。対応に追われっぱなしになる。
こんな時はどうするか。
残念ながら受注を止めるしかない。受注を止めて、とにかく滞留した商品を処理してしまわないことには次に行けない。
受注を止めると言うことは新規顧客の獲得も止めると言うことで、顧客データベースが既顧客だけになると言うことだ。これではダイレクトマーケティングの意義が薄れる。
しかし、他に方法はない、ということになる。
そこで物流を止めないために大切なのは、やはり受注の予測や、物流の予測を行い、出来るだけ現実に近い数値目標を立てることだ。アパレルを中心とする総合系通販より、単品の方が遙かにこの計画は立てやすいはずだ。
人力中心の物流センターを一つ作成するのにも最低一年はかかる。これが完成するまで、じっと耐えねばならないのだ。
貴重な一年を費やさないためにも計画をしっかり立てて頂きたい。
そしてその中に、物流も入れて頂きたい。
債権管理は次回に。
トラックバック(0)
・このブログ記事を参照しているブログ一覧:
【第11回】フルフィルメントって何だ"仕事を切り回す裏方仕事さ、次は物流という仕事"
・このブログ記事に対するトラックバックURL:
http://www.scroll360.jp/mt/mt-tb.cgi/652
新着記事
- 2012.01.30
- 【第36回】トラブル対応でなくした1000万円
- 2012.01.30
- 【第37回】日本版格差社会がますます深刻化してきた 年末の新聞、情報誌から読み解く日本の経済環境
- 2012.01.30
- 「ソーシャル時代における BtoC 型 Eコマース成功のポイント」他
- 2012.01.16
- 【第12回】市場は世界。打つ手は無限。ECにこそ必要なグローバル視点







コメントする