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Ohkura.com Consulting   代表 大倉 伸夫

製造業の単品通販〜データベースマーケティングって何だ

製造業の単品通販〜いわゆる「良い顧客」を分析する方法とは

2008年03月10日|コメント(0)トラックバック(0)

POINT

『ダイレクトマーケティンの戦略要素とは』
『まずは顧客を知る』
『いわゆる「良い顧客」を考える』
『顧客評価の手順』
『分析心得』

前回は分析する前にデータを眺めてみると言うことを考えてみた。

今回は分析、分析と言うが一体何を分析するのか考えてみたい。そして取りあえず顧客をテーマにを取り上げてみよう。 

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■ダイレクトマーケティンの戦略要素とは
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どのような事業でもその基本となる戦略要因があるものだ。
前にもお話したが、ダイレクトマーケティング(以下DM)の戦略要素は3つ。

1)顧客
2)商品
3)媒体(またはメディア)

である。

商品戦略の分析の典型は予測だ。
プロモーション全体で単品別に幾つ売れるかと言うことと、商品発注段階でいくつ受注が来るかの予測であろう。前者を需要予測と言い、後者を受注予測という。この予測システムには多くの努力が傾けられながらも完成の域には達せず、まだ開発途上と行って良い。後に回そう。

媒体戦略(メディア)に関しては分析という概念全体として統合されてはいない。様々な仕組みが個別に開発されている。例えば女性モデルのビジュアルで首から上をカットし商品を強調した場合と、頭部ありで使用シーンのイメージを掻き立てる場合とどのくらいの差が発生するか、などなど。

今後の分野として期待されるのはテキストマイニング(言葉の分析)による「言葉」の売り上げに対する効果の分析であろうか。

顧客に関しては古くから研究が続けられほぼ完成の領域に近付いて来たと思われる。従って本稿で論ずるのも顧客に関することが多くなる。


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■まずは顧客を知る
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毎日日常の仕事をこなしていると、よくコンタクトしてくれる特定顧客の像は見えても、顧客全体が見えなくなるものだ。

昔、あるアパレル系のマーケターが経営上大変困難なことに直面したことがあった。
その企業は設立以来10年以上たち、売り上げも順調であったので、上場することによって新たな資金を手に入れ、次のステージへの飛躍を考えた。
そこで経理サイドが主体になって経営を刷新することになった。あまり顧客の価値が認識されない時代であったので、経営健全化の方針だけから新規顧客獲得の媒体コストを押さえることにした。

初め顧客の動きははっきり見えなかった。それほど緩やかな変化だったのだ。
しかし半年たち、1年たってまず受注件数に変化が起った。顧客が減少しはじめたのである。そして3年目に入った時、突然顧客がボロボロと離脱したのだ。驚くことにその勢いは幾何学級的に進んだ。上場どころではなく、売上げを確保するのに多くの手間とコストをとられた。

実は原因はリストの経年加齢であった。1年たてば顧客も1年加齢する、その微妙な変化に対応した商品と媒体のオファーをしなければ顧客をロストする。新規顧客の獲得を押さえたためにこれに気が付かなかった。

そこでまず顧客全体を知ることが必要になる。顧客全体を知る方法にいくつかあるが、最も簡単な方法が「セル分析」である。
これは顧客をいくつかの層(セル)に分けて、それぞれの層の内容とその経年的変化を見て顧客とその変化を知ろうとするものだ。例えば縦軸に最新の受注日、横軸に一定期間における購入回数を設定し全体を把握しよう。この枠の1つ1つがセルであり、その中は

1)そのセルに該当する顧客の数
2)このセルから顧客にコンタクトした数
3)その割合
4)このセルからの直近のプロモーションの受注単価
5)売り上金額
6)売り上げ単価
7)このセルに新たに入ってきた人数
8)このセルから出て行った人数、

などが表示される。このセル分析を拡張して行くと、顧客の購買力の分析(顧客パワーと呼んでいるが)や獲得顧客の推移や減少・変遷を読むことが出来る。これらのデータを定期的にチェックすることにより、顧客パワーをいつも認識することが出来る。

これは何も難しい技術を使った分析ではない。誰でも出来ることであり、このような方法から顧客の認識がスタートするのだ。このマーケターもこの仕組みを用いることにした。先程のマーケターもそれから顧客の変化を見つめるようになった。しかし傷は深かった。顧客パワーを回復するまで数年を要した。


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■いわゆる「良い顧客」を考える
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顧客の全体像を認識したうえで次に行う分析は2つ。

1つは顧客のセグメンテーション、そしてもう一方は顧客のターゲティングである。いずれにしろ顧客全体ではなく一人一人の個客を評価する必要がある。

ワンツーワンマーケティングではビジネスの仕組み作りで最初に行う仕事は、個々の顧客の評価分類としている。分類の基準は「良い顧客」「悪い顧客」それに「最も成長の期待できる顧客」ということである。むろん良い「顧客」にはより十分なリレーションを、「悪い顧客」には無用なマーケティングコストを使わないようなオペレーションを、それに「最も成長の期待できる顧客」には顧客育成プログラムを、と言う訳である。

それでは「良い顧客」というのはどんな顧客のことを言うのだろうか。
様々な議論があろうと思うし、またこのコラムを読んで頂いている方々には繰り返しにもなろうが、ここでは仮に「マーケターが実施する次のプロモーションで反応して頂ける可能性の高い顧客達」としておこう。

企業から見た顧客は様々に変容する。顧客の獲得期、初回購入期、リピート期、自注期(自ら発注して頂ける時期)、スリープ・ロスト期などである。
また、同様に顧客とのリレーションシーンは実に多様である。顧客獲得プロモーションへの反応、販売のための媒体コンタクト、商品問い合わせから発注で終わる多様なコンタクト、キャンセル(商品配送前の解約)、商品配送、請求、入金、クレームのコンタクト、リレーションを高めるためのプロモーション、返品(配送後の解約)での接触、督促でのリレーションなどなど。
むろん最も高まったリレーションとは購入行為の瞬間であろう。

それでは顧客をなぜ選択しなければならないのであろうか。きわめてシンプルな解答は「効率を上げる」ためである。顧客とのリレーションはそれぞれマーケティングコストが必要である。チラシで1枚9円、カタログで250円から1000円くらいもしようか。コールセンターに至ってはバックエンドが人件費であるからかなり高額になる。

ある通販企業では2000万人の顧客データベースを保有し、毎期1000万冊のカタログを配布していると言う。簡単に言うと1000万人の顧客を選択してコンタクトしないようにする必要があるのだ。つまり、切り捨てるのだ。

売り上げや利益が期待できる顧客とのみコンタクトしようとするのは当然であろう。


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■顧客評価の手順
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マーケターからみて顧客の善し悪しを判断するにはどのようにするか。以下その手順について述べる。

1)正規化された顧客データベースを用意する(母集団)
2)顧客評価をするためのデータをつくる(サンプル)
3)顧客評価のための項目、やり方を決める(モデルの作成)
4)顧客評価のやり方が正しいか確かめる(検証)
5)実際の顧客データベースに当て嵌めて一人一人の顧客を評価する。
6)顧客評価の高い順番に全顧客を並べ替える
7)適切な顧客数を上位から選定する、と言うやり方を仮定しよう。
            
1)顧客データベースの準備

分析対象とする一定期間内のすべてのデータを事前に準備する。
このとき前回述べたようにデータの中の不具合な部分を除去したり、 正しい値に再編集しておく。特に異常値の取り扱いは重要である。

2)サンプルデータを作るポイントは2点、データ量と種類である。

準備した全データ(母集団)からあるルール、例えば「100件おき」とか「1000件おき」とか予め決めてデータを抽出する。サンプルとするデータの量は1万件前後で良い。適正量に関しては数学的に色々の
定義があるが、まず1万件くらいあれば経験的にも問題ないと思われる。
もし、件数に不安があるようであれば同一のデータ種別を複数セット用意し、それらのセットでの分析が同一の結果もしくはそれに限りなく近いのであれば可としよう。作成するデータの種類は3種類。モデル作成用、検証用そして実際に処理するためのデータとする。むろん、3年分のデータを取り置き、2年前のデータでモデル作成、昨年データで検証、当年データで実施する方法もある。ただし最近顧客の変容ははなはだ早く、DMでは通常5年前のデータでも使用可能であるが、インターネット、携帯電話、クレジットカード、消費者金融のような業態では所謂ライフステージというような概念は既に通用しなくなっているかのようにも思われる。

3)分析項目の選定とモデル

ここでもう一度分析の目的を考えておこう。今やらなければならないのは「良い顧客」と判定する「方法」を発見することだ。この「方法」と言われる仕組みを仮に「モデル」と呼ぼう。
そこでデータの方を見てみよう。データには一人一人の顧客の行動を規定する項目がある。「性別」「年齢」と言った顧客情報とともに「購入回数」、「顧客獲得日付」つまりその顧客の名前をリストとして獲得出来た日付やそのメディア、「顧客が購入した商品のタイプ、「キャンセル数」「返品数」「最終購入日」そして「売上金額」などだ。今この中から、「良い顧客の分析」に貢献する項目を選択すると言うことは「売上金額」に最も貢献していると思われる項目を見付け、それで顧客を選別することと仮定する。
顧客のデータは一定期間を切り取ったものであるから、当然その期間内に購入のあった顧客となかった顧客が混在することになる。つまり、「売上金額」というフィールドを持っている個々の顧客のレコードの中で、その売上金額に最も影響を与えていると思われる項目を見つけ出すということだ。影響を与えていないと思われる項目は捨て、発見できた項目、もしくは項目群だけで顧客を再度見直せば、次のプロモーションで購入して頂ける可能性が高い顧客発見出来るとみるのだ。

その項目はもしかしたら「性別」かもしれないし「購入回数」かもしれない。
あるいは負の要素としての「返品」「キャンセル」「未入金」かもしない。
それを見つけ出し、ついでその項目を含んだ数式に変換できればそれが「良い顧客を判定する方法」つまり「モデル」と呼ぶことになる。
  
それでは計算に掛かろう、と思ったらデータは何と1万件もある。これをすべて手計算というわけにはいかない。そこでコンピュータを利用し、統計ソフトウエアを使って自動的に計算させるのだ。
その時使用するツールソフトウエアが「回帰」や「重回帰」という統計の手法を含んだ物である。ところでデータをよく見てみると「売上金額」のように「量」を表す数値と、「1,男 2,女」のように「性質」を表す数値がある。「前者」を「定量データ」と言い、後者を「定性データ」と呼ぼう。このようなデータの性質の違うサンプルも同じ手法で取り扱うことが出来るかと言うとそうではない。「定量」は「回帰」という手法、「定性」は「数量化理論」という方法で解析される。事にDMのように2つ以上の要素が互いに関連しあう時には「重回帰」という手法を使用することもある。
以上の「売り上げ」に対して最も影響力のある項目を選定する分析はコンピュータが自分で計算して、モデルを作成してくれるが、最終的にどの要素を用いるかは人が判断しなくてはならない。

4)モデルの検証

選択したデータの項目やモデルがその母集団を分析評価するのに適した要素かどうかを調べる必要がある。もしかしたら選定した仕組みが適合しないかもしれない。そこで選択された項目を使い最大効果を上げているかを調べる。

もし、要求する基準を満たしていないのであれば再度分析をやり直す。最も良い結果が出るまでこれを繰り返すことになる。むろん幾つか作成したテストデータでも計算し大きな変動の有無を調べる。

5)顧客を一人1人評価する

次に選ばれた要素に基づいて、全顧客のデータを使い再計算する。モデル生成過程で得られた情報(これをカテゴリーウェイトという。)を元に、全顧客を評価する。つまり選択項目別に購入を期待できる点数をつけて行く。これを顧客スコアと呼び、一人一人の顧客の次の購入期待の度合いである。

6)7)並べ替えて上位から切る

この購入期待度の高い順に全データを並べ変える。つまりスコアの高い顧客から降順にソートするのである。これもコンピュータが自動的にやってくれる。そして必要な顧客の数、もしくは金額の所まで上位から選択することによって求める顧客群を見つけることが出来るのだ。


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■分析心得
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説明の都合上簡略に記述したが、実際の顧客分析の現場ではもっと多様である。
そのような場合より現実的な考え方、つまり実際のビジネスにあったように進めて行くことが必要である。

1)顧客の違いをまず知る

顧客というのは単純に集められているものではなくいくつかの種別に分かれているのが普通である。例えば獲得ルートである。いくつかの種別のメディアによって顧客獲得しているとすれば、同一データベースに収容されている顧客でも、それぞれの獲得メディア別に評価し最期に統合すべきである。

2)現実のビジネスを先行させる

例えば分析の途中で、「売り上げ」に対する貢献度の高い要素の度合いを示す値、相関係数をソフトウエアから提供される。限りなく大きい方がよいのだが現実とそぐわない、例えばあり得ない値が示されたとしたら躊躇なく現実を選ぶべきである。 

3)無い物ねだりはしない

分析には本来もっと項目があればよりよい貢献できると言うようなことは良くある。しかし、そのフィールドがデータベース上に無ければ今は使える要素を使う。

4)分析において精度は非常に重要である

当たらないよりは当たった方が良い。しかし、何時やっても同じ結果である事も重要である。いつもとんでもなく異なる結果ではモデルとはいえない。精度と安定性は大事な要素である。

以下次回に続く

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