マーケティング
改善の指示は絶えず顧客から〜「改善型マーケティング」を考える<後編>
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■事業の改革を考える
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事業の変化を改革だとか、変革だとかと言ってしまうとどうも嘘くさい。
まやかしのような感じがしないかい?
確かに全社一丸となって取り組まなければならないこともあるようだ。

例えば、今まで24ヶ月かかっていた商品の開発から、ロールアウトまでの期間を30%カットする、などと言う時はそうだよね。
業務というのは、大なり小なり企業の中のあらゆる部門が何らかの関係を持っているので、全社がうまく同期して動かねばならないだろう。これは企業にとって大事なことだ。
今、私が言いたいのは、そのような大がかりな変革では無く、日常の中で自部門が達成出来る、小さな改善の事だ。
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■クレームの増加
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もう十年位前になるだろうか。
今では安定した企業に育った、九州のある企業様をお手伝いした時の話。
ほら、また単品系だよ。
事業開始以来、15年くらい経っていた。売り上げも順調で、一見何の不都合も無いように見えた。
この企業の商品は化粧品。「アドバイス商品」であることには、今と変わりない。
従って昨今はやりのCRM以前のテレコミュニケーションという、テレマーケティングがマーケティングの中心。
しかし、まだ未分化で、インバウンドとアウトバウンドの部門があったくらい。そのアウトバウンドもまだまだ売り主体で、次の可能性を求めて苦闘していた時代だ。
じつは、順調そうに見えたその事業の裏側で、着々と増加していたものがあった。
言わずと知れたクレームだ。
今まで通常月で大体、月100件くらい。まだそんなに目立った数ではないが、これが着実に増加していっているのだ。
この状況はすぐシステム側で補足し、アラームを出し、じっと観測を続けていった。
クレーム内容としては、商品に関することより、どちらかというと企業側の顧客からの要望の対応不備に関することが多いようだ。
例えば支払い方法の間違い。送付先の間違いだ。
その顧客は自宅ではなく、勤務先に送って来て貰いたかったのに自宅に送付され、家人に開封され、金額を知られてしまった・・・などと言うこと。
この事象は、殆どが受注内容の復唱欠如からくる間違いに尽きる。
これらは個別に対応していった。
そのうちに商品に対するクレームが増え始めた。やはり商品そのものに対するクレーム(顔が赤くなったとかブツブツができた等々)ではなく、「頼みもしない商品が梱包に入っていた」、と言う内容。
無論請求書にも。これも復唱の欠如から来る、思いこみであろうと思っていた。
・・・が、日が経つに連れ、その類の件数が増加してきたのだ。
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■"押し込み"だった
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やがて、「頼んでもいない商品が送られてきた」、というクレームがポツポツ舞い込み始めた。
しかも1日に数件と言う多さ。この企業の商品は比較的高年齢向きで価格帯としては高額である。
こと、ここに至っては抛(ほう)っておく訳にはいかないので調査に入った。
やがて結論がでた。"押し込み"だった。
アウトバウンド部門のオペレータはそれぞれ達成数値が示されており、皆その数値を目指して販売活動をしていた。初めはガイドラインであったが、そのうちいわゆるノルマ的な要素を持ち始めたのだ。
「出来ることなら達成した方が良い」という方針が、その成果が給与に及ぶとなってからは、競争になっていったのだ。
その結果、購入してもいない用品まで送られて来たり、注文もしていないのに高額セットが送られてくると言う現象まで現れ始めた、と言うわけだった。
ちなみに、返品を調査したところ同期して増加、増減していることがわかった。
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■部門全体での早急な対応施策
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急遽、鳩首(きゅうしゅ)会議となり、早急な対応を計ることになった。
アウトバウンド部門のマネージャーが先頭に立ち、発生原因、件数、担当のオペレータの調査が行われた。問題は単にオペレータレベルの行き過ぎという段階に止まる問題ではない、という事で部門全体で対応施策が検討された。
当たり前だ、これが世に流れれば始末に負えない状況になろう。
この時、経営側は一切容喙せず、全てを部門の裁量にゆだねた。ここは凄いところだ。
対応施策の結論だけ言うと、今までのノルマ的性格の数値を、いわゆる努力目標数値に変更することによって、オペレータやグループの心理的負担を除去する事となった。
併せて顧客対応が検討された。
そこはテレマーケティングの会社、お詫びの電話は得意である。
しかし、今回はそれだけではすまない。そこで、電話以外に詫び状を出すことにした。
アウトバウンドのマネージャーが文案を作り、その当時使用されていたワープロでサンプルが作られた。
しかし、どうもシックリしない。何かよそよそしい。そこでもう一つ工夫を加え、手書きにした。
今度は、ワープロとはひと味違った味を出せてこちら側の誠意が伝わりそうであった。
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■一歩前に進んだ顧客対応
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通常であればこれで終わるところであるがこの企業様はもう一歩前に進んだ。
定常的に特定顧客に対応する仕組みを作ったのである。特定と言うのはインバウンド、アウトバウンド部門で対応する以上の注意を必要とする顧客である。
その筆頭は、商品のアドバイスが必要な顧客である。
それまでは全て、顧客アドバイスはテレマーケティングの現場で行っていたが、これを改め、難易度が高そうで専門的対応が求められそうな顧客はこの部門で引き取り、研究部門や工場と連携しながら対応することにした。
その結果、商品クレームに対する専門知識が集約し、ノウハウが蓄積した。
それをまた、現場にフィードバックすることによって、現場の顧客指導を向上することが出来た。
先程の詫び状もその一つだ。コンピュータのシステムとして新たに「詫び状システム」を開発し、あらかたの文面はここで簡単に作れるようになった。
それ以上は手書きで、軽度はペン。重要な文章は専門の書家に依頼して書いて頂く事までした。
ほんの少しの改善、ノルマから目標数値への変化、がオペレータに好ましい心証を与えたことによって、この種のクレームは激減した。しかも、終始現場主導で改善が進められたのである。
しかも、現在では最も重要な機能「顧客対応」が作られ、発展してゆき、今ではなくてはならない物になっている。
現場における自分の仕事の改善に対する行動は尊い。
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■「改善型マーケティング」のきっかけ
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現在はもう少し進んでいる。
ことに我々が3つのネット、テレビ、電話とインターネットを手にしてからはがらりと変わった。
後2者は行動のリアクションが数値として把握出来る優れものだ。
これをマーケティングに生かさない法はない。
実施したマーケティングの結果を計数化、本当にプロモーションが有効であったかどうかを評価することが出来る。今までは、どんな広告を打とうが新聞に掲載しようが、やりっ放しだった。
これにより駄目な広告は止め、効果のある広告へと変化させることが出来るはずだ。
まして、BLOGで自身発信型の日記閲覧が可能になってきている。
それに加えて会員型の日記交換サイトまで出来ている。
ここに自社や自社商品の評価が載らないと誰が言えよう。
これを解析するテキスト・マイニングも進んでいる。
構文解析(誰が何を言ったか)まで出来るようになって来ている、という。
1)マーケティング活動は絶えず看視しろ。しかも数値で。
2)マーケティングで起こりうる課題は、できたら事前に、もしくは同時に発見しろ。
3)マーケティングで発生した課題は必ず数値で評価しろ。
4)マーケティング対応は現場レベルが主体になって実施しろ。
5)マーケティング対応の再評価は必ず数値でしろ。
これが「改善型マーケティング」のきっかけになるだろう。
大倉氏のコラム"単品通販コンサルタントの独り言シリーズ"は今回で終了です。
次回、新しいシリーズで新連載開始の予定です。お楽しみに!
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