マーケティング
CRM、その次とコントロールということ
───────────────────
■「個客は見えても顧客が見えない」
───────────────────
何かの機会にワンツーワンマーケティング(以下One to One)とCRMについて書いたことを覚えていらっしゃるだろうか。その時、「One to Oneはプロダクトの無い理論、CRMは理念の無いソリューションソフトウエア」と定義したことも思い出して頂きたい。
◎参考:単品系通販って?〜もしかしたらCRMってこれかな(後編)
実際、数年前アメリカでCRMの効果や是非が俎上(そじょう)に上り、それこそ訴訟にまでなった。いわば一頃のERPトラブルに今一歩と言うところであったと聞く。それ以降、CRM熱は下降線を辿り中心的議論にはならなくなっているようだ。何故だろうか。

一方我が国のダイレクトマーケティングを見れば一目瞭然。
2000年を境にしてマスで売り上げを稼ぐカタログビジネスが低調になった一方で、肌理(きめ)の細かさを売り物にする単品通販が、インターネット通販と並んで上昇を遂げている。
健康食品に限って言えば、製造業が新たなチャネルを求めて動き出した感がある。
この単品通販こそ、CRMの最も効く分野なのだ。
我が国でもCRMブームもひと落ち着き、今やその効果の評価が行われているところだ。
確かにダイレクトマーケティングと言う手法により顧客獲得は果たせた。
しかし最も大事なLTV(ライフタイムバリュー)が上手く開展しないのだ。
その結果、CRMの是非に対する疑問も出始めている。
その最大の課題は、「個客は見えても顧客が見えない」と言うことではないだろうか。
確かに顧客はまず媒体に乗ってやって来てくれた、例えば電話で。こちらにスクリプトは出来ている。
それに添って会話が出来た。初回注文も取れた。その顧客についての幾ばくかの情報の提供も受けた。
2回目の注文も来た、3回目の注文も来た。しかしそこまでで、あとは消えていってしまった、と言うことだ。気が付いたらLTVが回り始めた段階で顧客ロストした、と言うことなのだ。
────────────────
■コントロールと決定パラメータ
────────────────
CRMから突然話が変わるが、皆さんのビジネスではテストは必須事項であろう。何と言っても数多あるビジネスでテストが出来るのはDMの世界だけだから。
又唐突だがコントロールというのをご存知だろうか。
この手法はDMのビッグビジネスにしか使われていないが密かに効果を上げている考え方だ。
無論アメリカ産の理論だ。
コントロールというのは簡単に言うとテストの部品と考えて構わない。
つまり我々はある物事を決定し実行する前に必ず試行を行う。この試行がテストだ。テストと言うのは実施したら必ず評価をしなければならないが、この時、比較対象になる物が必要になる。この必要な比較対象物がコントロールだ。
例えば今まで使っていたカタログのコピーやビジュアルを変更したいなどと言うことは何時でも起こることだ。そのようなときに、例えば実際に新しいビジュアルを5000人、古いビジュアルを5000人に配布してみる。そしてその結果を得ておく。
ここで単純比較することも可能であるが、より普遍的に評価するために、顧客の中の特定グループを「コントロール」と定めておき、その顧客達のレスポンスを「決定パラメータ」として予め算出しておく。
そして双方のレスポンスの差を予め算出し、この決定パラメータと比較する。
決定パラメータより大きければ新しいビジュアルを使うし、少なければ従来のままのビジュアルを続ける。このように予め物事を決定する為の比較の集団とパラメータを持つのだ。
───────────────────
■優良顧客の典型的な動きとは?
───────────────────
顧客が全て一意でないのはいつも述べているとおりである。入ってきてすぐロストするお客様、数回買って頂いてロストするお客様、ありがたいことに何時までも購入をつづけて頂いているお客様。一度はいなくなられたが又返ってきて頂けたお客様、などなど、千差万別である。その顧客の中に自分達のコントロールを持つのである。
私の知っている限り、最も購入金額の多い顧客は月に約200万円だそうだ。
不思議とこれはDM企業の一般的な数字らしい。(もっとも商品や価格によって違うだろうが)。
このようないわゆる優良顧客はきっと数人ではないはずだ。そしてその方々は、ある典型的な動きをしているはずと、目星を付ける。
例えば
【獲得媒体】
朝日新聞の折り込みかテレビの広告か。どの地方に住んでいるか。
(これも意外と言えば意外だが東北地方に多く住んでいられるようだ。
ご存じのように東北、北海道地方はあまりDM活動は活発では無い、むしろDM消費の地と思われるのだ。)
【初回購入の商品は何か】
そして2回目、3回目は何か。商品ジャンルが変わったのは何回目か。
【キャンペーンに反応してくれているがしていないか】
反応して頂いているとすればどのような企画か。クリスマスかそれとも正月福袋か。
【一回はロストしたが又返ってきてくれたか否か】
【どんな媒体(紙だとかインターネットだとか)に一番反応して頂けるか】
【もしCRMソリューションを使用していて会話歴が残っているなら、どんな会話をされたか】
などなど。
───────────────────
■顧客獲得期→慣性期→自発期
───────────────────
これらのデータから良い顧客への"道程"をまず定義づけ、そしてそれをプロットしておく。
そのプロットした図を見ると、あることに気が付くはずだ。
大体3カ所ほど大きな曲がり角があるのが普通だ。
仮にそれを
1)顧客獲得期
2)慣性期
3)自発期
としよう。
「顧客獲得期」とはこちらの呼びかけに何かしらの反応を示して頂く時期だ。
例えば資料請求や、トライアル購入など。この期の最終イベントは「初回購入」である。この初回購入に至れるか否かによって、この顧客の獲得いかん、が決定する。
「慣性期」というのはその顧客がこちらの提供する商品に徐々に慣れ親しみ、その顧客からのコンタクトが起こり、結果的にその商品が生活の中に定着、つまり習慣化して行く課程だ。
この時の評価基準は特定商品を幾つ購入したかが基準になる。
「自発期」とはこちらから何らマーケティング活動をかけなくても継続的に、且つ自発的に発注を掛けて頂けるような状況だ。むしろ、うるさいプロモーション活動は、そういった顧客には迷惑でマイナス効果になる。自己発注が何回行われたらこの顧客が「自発期」に入ったか、を決定しておく。
・・・と言う具合だ。
もし皆さんのビジネスの中でこのプロセスが発見できたら幸いだ。
それぞれの時期の顧客の行動特性を係数化して保有しておく。これが尺度だ。
そして、この中からそれぞれの時期の数百人くらいの顧客を選択し、コントロールとして観察する。
ここで効いてくるのが顧客との対話歴だ。過去それぞれの時期に、こちらからどういう対話を仕掛け、それに対して顧客はどう対応したか。それぞれの時期で顧客の不安や希望は何か。
そしてそれに対する対応を考え、テストで評価するというやり方だ。
───────────────────
■これからのマーケティングとは?
───────────────────
DMにおいてCRMはそれなりの効果をもたらしたと思う。むしろ過剰期待があり、それが実現出来なかったことに対する反動であろう。
これからはCRMで得た情報からコントロールを作成し、良い顧客の選択や対話、殊に一人一人の個客に、より深みのある理解を増やし、マーケティング活動をすべきであろう。
そう言う意味でCRMの今一層の成長を計って頂きたい。
トラックバック(0)
・このブログ記事を参照しているブログ一覧:
・このブログ記事に対するトラックバックURL:
http://www.scroll360.jp/mt/mt-tb.cgi/146
新着記事
- 2012.01.30
- 【第36回】トラブル対応でなくした1000万円
- 2012.01.30
- 【第37回】日本版格差社会がますます深刻化してきた 年末の新聞、情報誌から読み解く日本の経済環境
- 2012.01.30
- 「ソーシャル時代における BtoC 型 Eコマース成功のポイント」他
- 2012.01.16
- 【第12回】市場は世界。打つ手は無限。ECにこそ必要なグローバル視点







コメントする