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すでに通信販売を展開しておられる企業はもちろん、これから通販を始めようという企業の皆さまのビジネスのヒントになると思われる切り口を取り上げ、成功企業の事例とともにお届けします。

株式会社アイ・エム・プレス    代表取締役 西村道子

【第2回】マルチチャネル時代の通販に思う

2009年10月13日|トラックバック(0)

POINT

『生活者の買い物行動の変化とマルチチャネル』
『通販会社におけるマルチチャネルへの取り組み』
『ネット系通販会社におけるマルチチャネル展開事例』

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■生活者の買い物行動の変化とマルチチャネル
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インターネットが普及したことで、私たちの買い物行動は大きく変化したと言われています。これをうまく整理しているのが、(株)電通が提唱するAISASというコンセプトです。過去には商品・サービスへの注意(Attention)→関心(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)のプロセスを経て購買(Action)に至ったものが、いまでは関心を持ったらすぐにネットで検索(Search)して、その場で購買(Action)の意思決定を行い、購入後もネットを通して商品・サービス情報を他の生活者とシェア(Share)するようになったというのがその考え方です。

実際に周囲を見渡してみても、何かわからないことがあるとネットを検索するという行為は日常生活に広く浸透しています。そして買い物をするに当たっても、購入に先駆けて自分が興味のある商品・サービスをネットで検索して、複数サイトの価格やサービスなどを比較・検討したり、クリックひとつでサンプルを取り寄せたり、eメールで注文や問い合わせをしたり、あるいはサイトでもよりの取扱店舗を調べて直接出向いたりといった行動は、ごく当たり前に見られるようになってきました。

こうした変化を前に、ここ数年来、マスメディアや屋外メディアなど既存の広告媒体を通してターゲット顧客をWebサイトに誘導するクロスメディアや、店舗や営業担当者、そしてカタログといった既存の販売チャネルとネットを戦略的に組み合わせるマルチチャネルに取り組む企業が業種・業態を問わず増えています。この背景としては、前述した顧客の買い物行動の変化に加えて、複数チャネルで購入する顧客はライフ・タイム・バリュー(生涯価値)が高いという先行企業のデータ、さらにはネットの普及などにより既存の広告媒体がパワーダウンしていることなどが挙げられるでしょう。


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■通販会社におけるマルチチャネルへの取り組み
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こうした中、いまや多くのカタログ系通販会社がネットへの取り組みを強化、カタログとネットのマルチチャネル化を推進しつつあります。一般にマルチチャネルというと、販売チャネルのことを指す場合が多いですが、そもそも通販においては、広告メディアと販売チャネルが限りなくオーバーラップしていること、さらに、基本的には一連の商取引がすべてメディアを経由して行われていることから、

1)対象市場から見込客を発掘する

2)見込客や顧客に商品・サービス情報を伝える

3)注文や問い合わせを受け付ける

といった販売プロセスのすべてにおいて、ネットの活用が推進されているのが特徴です。

このように従来からのカタログ系通販会社がネットの戦略的活用に注力する一方で、ネットが普及したあとにこの分野に参入したいわゆるネット系通販会社は、カタログなど紙媒体への進出意欲は持ちながらも、コスト面の理由から、なかなかこれに踏み切れないでいるのが現状です。ネット上での競争が激化する中、米国では一時期、アマゾンやeベイがカタログやDMなどの紙媒体を活用しはじめたことが話題になりましたが、昨秋からの景気の悪化により、再びネット媒体への揺り戻し傾向が顕著になっているようです。

以下、弊社がこれまでに取材した中から、通販における不便を解消する手段としてカタログ+ネット+店舗のマルチチャネル化を推進しているカタログ系通販会社のオルビス(株)(出典:『CRM年鑑 2009』)と、過去の購買実績に基づき絞り込んだ上得意客向けにカタログを送付しているネット系通販会社の(株)京の豆蔵(出典:月刊『アイ・エム・プレス』2009年4月号)の2つの事例をご紹介しましょう。


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■カタログ系通販会社におけるマルチチャネル展開事例
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<化粧品・健康食品通販会社 オルビス(株)のケース>

(株)ポーラ・オルビスホールディングス傘下の(株)オルビスでは、設立の2年後に当たる1987年5月からカタログ通販を本格展開、その後1999年9月にはECサイト「ORBISオンラインショップ」を立ち上げてネット通販に参入、さらに2000年8月には直営店「オルビス・ザ・ショップ」の1号店をオープンして店舗販売に参入し、現在のマルチチャネル体制の礎を築きました。取扱商品は、基礎&メイクアップ化粧品、栄養補助食品、ボディウェアなどで、2008年度の売上高は491億円に達しています。

通販においては、新聞折り込みチラシやテレビCMなどのマス媒体で獲得した新規顧客にカタログ情報誌「La」を送付しているほか、前述の通りネット通販を展開。また店舗販売ではすでに国内に105店舗を出店、ポイントカードの発行を通して通販同様に顧客情報を収集しています。通販と店舗を合わせた顧客データ数は約884万人に達しており、双方の顧客層を比較すると、前者が30代後半から40代、後者が20代から30代前半と、店舗の顧客のほうがやや若年層にシフトしているとのことです。

同社では、通販は"顧客に不便をかける"という観点から、マルチチャネルに取り組んでいます。通販参入当初からサンプル提供や返品・交換時の送料無料など、通販での買い物のリスクを軽減するさまざまな施策を展開してきましたが、マルチチャネル展開に乗り出してからは、ネットの機能を生かしたセルフ型のスキンチェックサービスの展開や、店頭へのスキンチェックマシーンの設置、ビューティアドバイザーの起用などにより、各販売チャネルの特性を生かした相互補完を推進。いまでは店舗で商品を試してからネットで購入する顧客も増加しているとのことです。


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■ネット系通販会社におけるマルチチャネル展開事例
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<黒豆加工食品通販 (株)京の豆蔵のケース>

顧客への購入の便宜の提供を目的にカタログ+ネット+店舗のマルチチャネル化を図るオルビスに対し、ネット媒体を主軸に据えながらもカタログを併用することでビジネスを拡大しているのが(株)京の豆蔵です。同社は、「丹波篠山いのうえ黒豆農園」の3代目、井上敬介さんが率いる黒豆加工食品の通販会社。1999年11月にネット通販を開始し、それから約10年を経た現在では、顧客数約8万人、年間売上高約2億円に達しています。

同社におけるマルチチャネルの展開方法は、ネットにより新規顧客を開拓し、リピート・オーダーを獲得する一方、上得意客にはカタログを送付するというもの。WebサイトではSEO(検索エンジン最適化)を重視しており、検索サイトに"黒豆"と入力した見込客のサイト訪問を促進すると同時に、サイトをブックマークしてもらえるように、トップページには黒豆にかかわるさまざまな情報を散りばめています。この結果、現在では同社サイトへのアクセスの半分が"お気に入り"経由で寄せられるとのことです。

カタログは年1回、お歳暮の時期に、その年の新製品を盛り込んで発行し、年に5万円以上を購入したロイヤルカスタマー、および1回の購入金額が高い顧客にDMとして送付しています。レスポンス率は、需要期の12月で10%、それ以外の月が5%といったところ。このほかeメールDMも不定期に送付していますが、黒豆は顧客の年齢層が高いこともあり、反応率では紙DMがeメールDMを大きく上回っているとのことです。


以上、2社の事例をご紹介しましたが、いまやマルチチャネルに取り組む企業は数多く、その戦略は各社の商品特性や販売戦略に応じて百社百様です。今後はコストが安く、投資対効果の測定が容易なネット媒体に注力する傾向が高まると見られますが、大切なのはマルチチャネル化それ自体ではなく、自社の商品や顧客に応じてチャネル・ミックスを最適化すると同時に、チャネル間でバラつきのないよう、コンテンツやサービスをマネジメントしていくことにほかなりません。マルチチャネル時代とはすなわち、カタログ、ネット、店舗といった従来の販売チャネルの枠組みを超えた大競争時代を意味しています。そのときに勝者になるか否かは、今日のトライ&エラーの積み重ねにかかっているといえるでしょう。

11月10日に配信される第3回では、「ネット時代の口コミマーケティング」(仮題)をお届けいたします。お楽しみに!

 

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