ロングセラー商品を作り出すためには<後編>
POINT
『ロングセラー化にたどりつくための6つの視点』
『本物と呼ばれるための6つの条件』
『たった一人のために作る』
前回は、ロングセラー化にたどりつくための視点には6点ありますというところまで、お話しました。
今回は、その6つの視点とは一体何か具体的な内容を説明させていただきます。
───────────────────────
■ロングセラー化にたどりつくための6つの視点
───────────────────────

1)奇をてらわず、自社の顔として相応(ふさわ)しい商品を選ぶこと
⇒製造から販売に至るまで、自社商品の強みを発揮するために、
絶対にモノ真似をしないこだわりを持って、絶対評価で
モノ作りを行います。
他社との相対評価はしない。
モノづくりは、自社の尺度や理念で押し通します。
全社員が自信を持てるモノ作りからスタートします。
2)安売りセールは一切やらないこと
⇒生産が適正であれば、押し込みの数字づくりをやる必要は
ありません。
顧客を価格で裏切ったら、次回はもう二度と定価では
購入してくれません。
値下げしてブランド破壊した悲劇を多く見てきました。
3)その商品に惚れ込み続けること
⇒ロングセラー化を阻むのは、売り場でも顧客でもありません。
慣れ親しんだ商品に愛着を持ってくれるのは、実は社員なのです。
ですから阻む最大の敵は、自社内にいる新しいモノ好きの輩です。
日本では経営者が変わったり、開発や営業の担当が変わると、
決まって新しいことをやりたがります。ロングセラー商品を
より強くすることより、新しいことのほうが易しく、
目立つからです。
しかも他社の商品が一時的に台頭してくると、慌てふためいて、
自社の優位性を見失ってしまいます。
経営者の最大の職務は、ロングセラー商品に対して、社内を
飽きさせない企業風土をつくることです。
経営者や社員が愛さない商品を、顧客が愛し続けてくれるはずが
ないからです。
4)不易流行な価値を付加していくこと
⇒普遍的な価値を高めるために、守るべき哲学やドメイン、
品質や技術は守り、
その上で古臭いと思われない工夫が要ります。
不易(変わらない哲学)と流行(新しい価値観)のバランスを
総合的な戦略として、取り続けることが大切です。
ハウスバーモントカレーの広告は、タレントは時代に合わせて
変わっていますが、広告コンセプトは当初の狙いから一貫して
ぶれていません。
5)企業品質を高める努力をすること
⇒信頼される実体の伴う企業でないと、顧客はその企業の商品を
買い続けてくれません。
だから万が一商品に問題が起こったとしても、顧客にとって
不利なことは隠すべきではありません。
誠意をもって対応すれば、逆に信頼度は増します。
最近ではナショナルのガス暖房機の例があります。
ロングセラーとは、長く付き合っても良いよと言う、
企業として認められることなのです。
これがロングセラー商品を持つ企業の隠れた条件なのです。
広告だけでイメージ付けした鍍金はすぐ剥がれます。
6)リスクマネジメントを怠らないこと
⇒ロングセラー商品は様々な嫉みや嫉妬の対象になります。
スキャンダルの格好のネタにもなります。
ですから考えられるリスクについて、あらかじめ責任者を決め、
最適な対処方法と仮想訓練を行っておくべきです。
ただ回避できないリスクが1つだけあります。
それは反社会的行為を自らの手で起こした場合です。
このような場合は、ロングセラー商品はもとより、
企業の存続そのものが、一瞬の内に消えてなくなります。
ロングセラー商品とは、倫理観というバリアに纏われて、
支持され続けるのです。
まとめます。
ロングセラー商品は企業が意図して作り出すものです。
それは狂気にも似た経営者のこだわりと、顧客以上に自社の商品を愛する企業文化から生まれます。
───────────────────────
■本物と呼ばれるための6つの条件
───────────────────────
いつの世も本物と呼ばれる商品やサービスは、価格競争とは無縁です。
それは価格ではなく価値で選ばれているからです。
ここで問題になるのが
「一体、本物とはなんだ?」
「本物を作り出すにはどうすればいいんだ?」
ということになります。
それについて考えてみます。
まず本物の条件です。
6点ほどあります。
1)その時代の著名なリーダーが愛用しています
⇒学者、俳優、歌手、音楽家、作家、詩人、宗教家、経営者など、
判断基準の高い人に選ばれ、愛用されています。
EX)皇室ご用達、モンブラン、バーのルパン(銀座)
2)その道のプロが使います
⇒プロ達の過酷な条件を満たす道具やそれを作る企業は、
一流とみなされます。
プロ達は最高の成果を出すために、最高の道具を使います。
EX)ナイキのシューズ、包丁のヘンケル
3)ここぞ!と言う時に選ばれるモノです
⇒アポロ計画で使われた部品や機器、未踏の探検で使われた
時計やライター、懐中電灯などは、紛れも無く本物の
評価を受けます。
EX)ジッポ、オメガ、マグライト、NASA仕様
4)カテゴリファーストのブランドに多い
⇒世に初めてその存在を広く知らしめたモノは、
本物として認められやすい。
元祖、本家、創業家、家元などの称号が与えられます。
EX)カップヌードル、シェーバーのブラウン、
シーチキン、ウォークマン、セロテープ
5)「×××ならあれ」とすぐ想起させるモノやサービスです
⇒カテゴリーNO1ブランドは、本物として認知されます。
顧客は、間違いのない買い物をしていると言う自己確認のために、
NO1ブランドを支持し続けます。
EX)クリームサンドの「オレオ」、卓球用の「タマス」、
ペッパーソースの「タバスコ」
6)幾世代に渡って受け継がれていきます
⇒家具、時計、背広、家屋、楽器など使い込むほど
愛着と輝きが湧くものは、一流として認められます。
最近では医者が選ぶ「名医者」が、患者には
一流として選ばれています。
───────────────────────
■たった一人のために作る
───────────────────────
さて次は、本物を作り出す方法論について考えてみます。
もうお気づきの方も多いと思います。
本物と呼ばれるモノは、マスプロ・マスセールスのモノとは、視点が全く異なっていることに気付きます。
機能も多機能ではなく、いわば万人向けでないことが多いのです。
という事は、判断基準の高いプロひとりの為にモノづくりしている、という開発思想が浮上してきます。
「多くの人の声を聞いて、モノづくりしよう」等と、
調査に莫大な経費をかける愚策に、もうお気づきのはずです。
ですから、その判断基準の高い人に選ばれるためには何が必要なのか。
この解を徹底的に追求することで、企業の個性や独創性、深みが増します。
「あのうるさいシェフを、ギャフンと言わせたい!」という執念が、調理器具の世界に影響を与えるモノづくりを可能にします。
プロや職人に認められないモノは、万人にも相手にされないという、哲理を是非思い起こしてください。
まとめます。
たった一人の愛する娘の為に作った歌が、万人の心を感動させます。
顧客が本物に対価を払うのは、
「正しい選択をした」「ベストの選択をした」
という、自己確認と満足感からです。
この判断基準は、「プロが使っている」という、たった一言です。
世界の最高峰にいる人を唸らせ、納得させてみましょう。
彼らの脳には、万人の脳に匹敵する森羅万象の宇宙が収斂(しゅうれん)されています。
トラックバック(0)
・このブログ記事を参照しているブログ一覧:
・このブログ記事に対するトラックバックURL:
http://www.scroll360.jp/mt/mt-tb.cgi/268
新着記事
- 2012.01.30
- 【第36回】トラブル対応でなくした1000万円
- 2012.01.30
- 【第37回】日本版格差社会がますます深刻化してきた 年末の新聞、情報誌から読み解く日本の経済環境
- 2012.01.30
- 「ソーシャル時代における BtoC 型 Eコマース成功のポイント」他
- 2012.01.16
- 【第12回】市場は世界。打つ手は無限。ECにこそ必要なグローバル視点








コメントする