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長年企業様のブランディングに関わり、独創的なマーケティング手法やアイデア開発手法を用いた企業のコンサルには定評があります。

岩田事務所   代表 岩田桂

ブランドとは「感動の商品」である!<後編>

「安くしないと売れない」症候群からの脱出

2007年03月27日|コメント(0)トラックバック(0)

POINT

『悲願の価格競争からの脱出』
『価格下落の本質は我にあり』
『顧客の顔がはっきり見えていますか』
『価格下落に陥る企業に共通する現象』
『高い利益率を目指す高い志を持とう』

前回はブランドのつくり方の総論を述べましたが、今回はさらに様々な角度から具体的なブランドのあり方に迫ってまいります。
まずは、価格競争からの脱出における経営の視点について考えてみます。

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■悲願の価格競争からの脱出
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「より安いモノを、より安く、より多く」のビジネスが苦戦しています。
価格という分かりやすい購買尺度が揺らいでいるからです。

価格変化

これは20世紀のビジネスモデルが岐路に立っていることを意味します。
メーカー、農林水産業、卸、住宅、小売、建設、サービス、葬祭業など例外はありません。

そして、どの経営者からも次のような理由が返ってきます。
「中国から始まったコスト競争に直面しているから」
「今までに経験したことのないデフレ不況だから」
「消費者が安いモノばかり追いかけているから」
「ライバルが安いから」
などと、「安くしないと売れない」症候群に陥っています。
さらに、多くの企業はこれに対処するために利益を削ってでも売り上げを作る、悪魔の循環サイクルに陥っています。
価格競争の無間地獄に、はまり込んでいるのです。

そんな中にあって価格競争を尻目に、どこよりも高収益を上げている企業があります。彼等は市場の価格の決定権を握り、高収益を上げているにもかかわらず、顧客から熱烈な支持を受けています。

一体、何が、どう、違うのか。
その辺の作戦の違いがどうしても気にかかります。
必ず勝利の方程式があるはずです。
そしてそれらの企業から、我らは次の深い眼差しに気付かされます。

その価格下落の本質を一言で表すと、
「売れない」、
「価格の下落がどうにも止まらない」のは、
「あなたの商品やサービスが、世の中で価値のないモノになってきているぞ!」
という市場の警告
だということです。

結論は「企業は価値の創造業である」ということを、今一度再認識して、その「価値造り」に邁進すべきだと素直に受け止めるべきなのです。
さらに、この価値づくりこそが実は「ブランドづくり」である、という強烈な気付きこそが大切なのです。

一見、遠回りのように見えるかもしれないが、実は急がば回れである事を多くの先人達は見抜いています。
あまりにもシンプルな本質だから、かえって多くの経営者は気付かずにいます。

ブランドという「価値」を創り出す企業は、顧客から大事にされ、価格の決定権も、高収益も、良質な顧客も、事業の安定も手に入れています。
価格競争からの脱出の手段としているのです。


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■価格下落の本質は我にあり
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価格が下落する理由は、顧客の財布が固く、ライバルとの競争が厳しく、スーパーの値下げ圧力がきついからではありません。
自社が安く売らなければならない理由があるからです。
本質は自身にあることに気付かねば、いくら努力しても下落の泥沼から這い出すことはできません。

その下落の本質は、以下の視点で把握します。


1)自社の固定費型の生産原理で事業展開していないか
 
大量在庫をかかえる生産システムは、「安売り⇔大量販売」という、はけ口がないと成り立たない。
見込生産という、工場の圧力をいかに排除できるかがポイント。
現場の機械を遊ばせておくくらいなら、回した方が良いという、現場の声に誰も逆らえない哀しさ。
見かけの固定費を稼ごうという生産現場の発想は、在庫と言う形で収益を圧迫します。
生産は市場原理に合わせて再構築するしかありません。

2)万人向けのモノ作りをしていないか

要は誰に買ってもらうのかが分からないモノ作りをして、しかも量を売って売上を作ろうとしていないか。

3)売る場所を無差別に広げていないか

値崩れは売り場の性格(ディスカウンターなど)から引き起こされます。
価値を最後まで守り抜く売り方や、売り場の限定が極めて重要です。
販売チャネルはより広くという、売上至上主義の企業になっていないか、また営業サイドのそんな声が強くないか。

4)企業の熱きメッセージを送り続けていますか

顧客にとっての価値情報は、企業から発信される感動する「語り部」から得られます。
要はわが社の資源が、顧客の間にどのような評判になっているかが重要です。
他人に喋りたくなるような情報資源のあるモノは、価格下落は起こりにくいのです。

5)社員が自社商品やサービスに誇りを持っていますか

社員をはじめとする自社の関与者が、実は一番大切な顧客だと理解することが大切です。
社員が自社に誇りを持てない企業は、商品価値は必ず下落します。


以上、5つの視点を挙げましたが、これらのひとつでも当てはまる企業は、その原因を徹底して究明するしかありません。
根本原因が分かれば、保守勢力を説得しながら、具体的な対応策を立てればいいのです。


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■顧客の顔がはっきり見えていますか
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ある大手の小売企業のマーケッターに、顧客の顔が見えるような的を絞った個性商品の案を提案したことがありました。答えは「ウチは、日本全国の何処にでも、並べられるモノしか扱かわない」と、味気ない回答が返ってきました。

いわば「万人向けに安く売る」でないと、ゴーがかからないと言うことです。
この企業は今、倒産の危機に瀕して、公的な資金の投入がなされています。

このように現代はモノやサービスが溢れ、万人向けなどはもう存在しないという事実に背を向けて、もがき苦しんでいる企業が意外に多いのです。

これらの企業の特徴は明瞭です。
自社の顧客のプロフィールが明確でないことに尽きます。

ブランド・マーケティングとは、「想定した見込み客(顧客)に、誰よりも早く入り込み、心の中に、たった一つの呪文を植え付ける」作戦行動です。
呪文とは、その企業のプレミアム(強み・魅力)を端的に表した言霊のことです。

そして、いわば想定した顧客に狙いを定めて「品揃え・サービス・価格・製造設備」を用意することです。まず、「想定顧客ありき」を戦略の第一に据えなければならないのです。しかも顧客を狭く、小さく、明確に絞り込むのが最強の「魔法の杖」となります。

顧客を絞り込むと事業は強くなります。
顧客を明快に絞り込むからこそ、商品やサービスが高度に研ぎ澄まされるからです。
ですから大小問わずに優秀な企業は、「万人向け」等という愚かな顧客設定などしません。

しかし残念ながら企業の多くは、顧客を特定することを嫌います。そして売上を伸ばすために対象顧客を広げ、万人向けの商品やサービスを展開しようとします。

万人が好むモノやサービスなど、この世に存在しないと忠告しても聞き耳を持ち合わせていないのです。

その結果、特徴や専門性は消え、値段競争だけが売りの商品やサービスとなって、価格下落に悩みます。
「良いモノを作れば売れる」「他より安ければ売れる」と、盲信する企業には、価格下落の無間地獄が待っています。
それでもあなたは、その道を選びますか。

ここで問います。あなたの会社では、明確に顧客のプロフィールを即座に思い浮べることができますか。

これを顧客定義といいます。顧客を定義すれば、自ずから企業が取るべき商圏は見えてきます。自社の強みを最大化させて、価格競争から抜け出せる経営が見えてくるはずです。


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■価格下落に陥る企業に共通する現象
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価格下落に陥って入る企業には共通する現象があります。
我らマーケッターの反省も踏まえて書き述べます。


●売上目標と利益目標を設定すると、まず始めるのが「他社より安くして売ろう」とします。

●そのために、まずコストの削減をします。販促費、パッケージ、原材料、人員まで手当たり次第に削減します。特に最近は非正規社員率が高くなり、社会問題化しています。当然、品質の劣化も見て見ぬふりとなります。

●そして売り出す商品やサービスは、他社の模倣や自社の生産設備を動かすためのものばかりになります。

●利益が出なくても「売上至上主義」を「顧客第一主義」の錦の御旗(みはた)にすり替えて、安売りを正当化します。

●こうした企業は口先では「変えなければ」と言いながら、実は従来のやり方を一切変えようとしないのが特徴です。そして評論家のように文句だけは言います。

●結果、価格下落の無間地獄に自らを陥入らせ、誰も責任を取ろうとしない。


これが実態です。

もちろん消耗品を大量に扱う大手企業であれば、体力にモノを言わせて世界市場を制覇できますが、多くの中小企業はそうはいきません。


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■高い利益率を目指す高い志を持とう
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ここで議論すべきは、
「どうすれば価格下落を防げるのか」
「どうすれば販売価格決定権を、自らが持てるようになるのか」
を検討することに尽きます。

その視点は6つあります。


1)まず商品の開発哲学や存在価値を否定してみる

自社商品の販売価格が維持できないのは、コンセプトが陳腐化しているか、営業サイドのブランドの消費が原因です。
これまでの成功哲学(価値造り)を疑ってみるべきです。

2)今までの顧客設定を否定してみる

今、企業として相手にしている顧客設定と、その理解は正しいのか疑ってみる。
顧客が本当に「ただ安いモノを求めているのか」を疑ってみるべきです。
多くの企業は、顧客接点の仕組みを持たないでいます。

3)安いだけの原材料を否定してみる

もちろん安い原材料はコスト削減に直結し、収益構造に貢献します。
しかし問題は、今の原材料で「価値を生み出す内容」になっているかどうかです。
最近は生産履歴という情報価値をもった素材が、台頭しています。
避けて通れない情報公開の時代です。
少々高くても素材にこだわることは、価値を売ろうとする企業には格好の武器になっています。

4)今の価格を否定してみる

販売価格は、流通業や顧客が決めるものと思い込んでいる企業が圧倒的に多い。
しかし、これは勘違いです。
販売価格は本来、メーカーが決めるものです。
ただ、語るべき価値のない商品やサービスは、叩かれた価格になるだけです。
まずは絶対に値引きしないと決めた新商品を作り、その価値を売る努力をすべきです。
自信や誇りのなさがモノやサービスに表れます。

5)今の売り場を否定してみる

いくら自慢の商品であても、その価値を破壊する売り場で売られていたのでは、元も子もありません。
売り場は広いほうが良いという発想は、早く捨て去るべきです。
そして価値の売れる場所を選び、なければ自らの手で売り場を作ることも検討すべきです。
品格、店格、客格のマッチした売り場がどこなのか、考えねばなりません。

6)今の広告宣伝を否定してみる

価値を売る商品やサービスは、広告宣伝に頼らずに、パブリシティーやクチコミで評価を獲得していきます。
宣伝広告はしないと決めた新商品を作り、クチコミの創造に挑戦してみるのも重要なことです。


以上の6つの視点で、現状を見直してください。
必ず思い当たる節があるはずです。

さらに価格下落の恐ろしさは、利益率だけの問題ではありません。
社員や経営者の価値も低下させ、仕事に対する自信や誇りまでも喪失させます。

そんな企業の空気には、顧客も鋭敏に反応して企業は淘汰されていきます。
高い収益率は好循環の源です。
価格下落の甘い罠にはまらないためにも、収益率とは、企業と経営者や社員の価値の尺度であると言う、高い志を持つことが大切です。

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