ブランドとは「感動の商品」である!<後編>
POINT
『ブランドづくりが終わったら・・・』
『(2〜1)顧客の期待を裏切らない』
『(2〜2)ブランドを浪費しない』
『(2〜3)ブランドを腐らせない』
『(3)ブランドを拡張、進化させる作業』
────────────────────
■ブランドづくりが終わったら・・・
────────────────────
前回のコラム
▼『ブランドとは「感動の商品」である!<前編>』
では、ブランド開発には戦略があり、3つの作業から成り立っているというお話をさせていただき、まずは
1)ブランドをつくる作業についてお伝えしました。

さて今回は、
2)ブランドを守る作業
3)ブランドを拡張、進化させる作業
の具体的な進め方についてお話いたします。
────────────────────
■(2〜1)顧客の期待を裏切らない
────────────────────
ブランドとは顧客の心に染み付いた知覚の総合評価です。
つまり、一度心に焼きついたイメージの呪文を保障し続ける限りは、顧客もブランドを裏切りません。これは、お互いの約束ごとを守るという、暗黙の信頼関係から成り立っています。
しかし、裏切りとなる行為が起こるのが世の常です。内容表示を詐称したり、安全を怠って顧客に不利益を被らせるなどがその代表例です。
新聞のお詫び広告が頻繁に出されることからも、この種の裏切りやうっかりミスは後を絶ちません。
「地元ぶどうによる国産ワイン」が原料不足を解消するために海外からぶどうを調達し、それが露見して一挙に廃棄に追い込まれたケースなど、ブランドは一夜にして崩れ去るのです。
法律を破らなければ、少々のことは顧客に許してもらえると思うこと自体がブランド破壊の入り口となるのです。一度裏切られたブランドは、もう再び陽の目をみないのがこの世界の掟です。
ナショナルのガス暖房機が多額の費用を投入して、お詫びテレビを流し続けた記憶はまだ新しい。
一度裏切るとその対価は想像を絶するのが常識です。
肝に銘じておきたいルールなのです。
────────────────────
■(2〜2)ブランドを浪費しない
────────────────────
ブランドの陥りやすい罠のひとつがブランドの浪費です。
売り上げを重視する余り、安価な価格で取引されてしまうことがよく起こります。
これが、ブランド破壊の最大の罠です。
しかも、この誘惑には勝てないのが、関係者の悲しい性です。
「売り上げを上げる」という指針には、誰も異を唱えることができません。
結果、生産量が増え希少価値がなくなり、顧客離れが加速されてブランドは輝きを一気に失うのです。こうなると、もう後の祭りです。
また、人気ブランドの名前を冠した商品の開発も、ブランド全体の魅力を薄れさせるから要注意です。いとも簡単にサブ・ブランドを売り出しますが、この愚は避けるべきです。
ブランドのイメージは「拡散浪費しない」ように管理するのが奥義です。
仙台銘菓の「萩の月」はこの奥義を守り通して、仙台以外の地では商品を置かないのです。他府県からの要請も頑と受けつけずに、ブランドの希少性を守り通しています。ブランドの浪費の怖さを知り尽くしているからです。
結果、類似品が横行する中で、「萩の月」だけが今も、値崩れを起こさずに仙台の銘菓たり得ています。
────────────────────
■(2〜3)ブランドを腐らせない
────────────────────
いくら名声を馳せたブランドでも、いつまでも輝きが保障されるとは限りません。
100年以上も長持ちしているブランドもあるが、それは稀な例であり、ブランドと言えども品質や特徴を時代とともに進化させていかなければ、腐って見放されることになります。
かの老舗の虎屋の羊羹が、顧客の好みの変化に合わせて、飽きられない工夫を常に重ねていることは周知の事実です。
ブランドは一定の名声を得た瞬間から腐り始めると考えるべきです。そして飽きられないために、飽くなき工夫の進化が始まるのです。
「呪文」のチェックも顧客の声を聞きながら、進化させていくことが重要です。
またブランドが腐るのは、ブランド自体の魅力の喪失も原因となりますが、他方で、類似品の出現でブランドのカテゴリーが陳腐化されて、イメージを下げてしまうことが多いのです。
類似品は必ず出てくるから、ブランドの商標権などのバリアー対策が大切になってきます。
『不易流行』という哲理がありますが、ブランドの根幹は不易(変えない部分)に徹し、イメージなどの装飾部分は流行(変えていく部分)に合わせて進化させていくのがブランドを腐らせない処方箋となります。
────────────────────
■(3)ブランドを拡張、進化させる作業
────────────────────
「ブランドを守る作業」に引き続き、次は「ブランドを拡張、進化させる作業」について論を進めましょう。
ブランドが軌道に乗り、更なる飛躍を期す機会が必ず訪れます。
そんな時に有効なのが「地域ブランドの拡張」という考え方です。
以下の3点の段階にきたら、この作戦を採用するのが通例です。
1)ブランドが十分に強くなり、そのブランドを使って利益や売り上げを高めたい場合
2)その商品の市場が飽和してしまい、もはやその商品分野では以上の拡大が見込めない場合
3)人材が余っていて、新規ビジネスを開発する必要がある場合
ただし、ブランドの拡張は既存の強いブランドを活用して、売り上げや利益を高める戦略ですが、その一方で非常に大きなリスクも持ち合わせています。
拡張したサブ・ブランドが、親ブランドを傷つけることが甚だ多いからです。
このリスクを回避するために様々な人が頭を悩ましています。
しかし、こんな好例があります。
トヨタは「クラウン」のサブ・ブランドとして「クラウン マジェスタ」「クラウン ロイヤル」「クラウン アスリート」「クラウン エステーと」といったラインナップ持ちます。強い「クラウン」というブランドを使って、商品数を増やしてわけです。
しかも商品数を増やしてもそれぞれが、親の「クラウン」と全く同じコンセプト(狙いのこと)を持たずに、既存の車種ではカバーし切れなかった価格帯、客層、カテゴリーなどを補完する形で拡張がなされています。注意にも注意を払ったトヨタのブランド拡張戦略です。
さらに日本酒でも好例があります。ブランドの拡張に成功している新潟の朝日酒造の「久保田」です。
久保田のブランドコンセプトは「創業時の屋号を冠した、新潟地貌の個性酒」です。しかもその背景には自然保護、酒米の改良研究、希少性などの社の哲学が息づいていることでも知られています。
この久保田(親ブランド)を冠に、萬寿、碧寿、翠寿、紅寿、千寿、百寿の酒質別、価格別、製法別などのそれぞれのコンセプトを有するラインナップが配置されているのです。もちろん販売ルートも厳格に管理されて、乱売を戒めています。いわば久保田はブランド戦略のお手本となります。
ブランドの拡張によるメリットとは、親ブランドを中心としたブランド領域(消費者から得ている高い評価)をさらに固め、守り、広げることが狙いであり、決して販売量を増やすことではありません。
利益率を上げることが最大の眼目なのです。
安易に親の七光りを利用することだけは、避けるべきなのです。
トラックバック(0)
・このブログ記事を参照しているブログ一覧:
・このブログ記事に対するトラックバックURL:
http://www.scroll360.jp/mt/mt-tb.cgi/232
新着記事
- 2012.01.30
- 【第36回】トラブル対応でなくした1000万円
- 2012.01.30
- 【第37回】日本版格差社会がますます深刻化してきた 年末の新聞、情報誌から読み解く日本の経済環境
- 2012.01.30
- 「ソーシャル時代における BtoC 型 Eコマース成功のポイント」他
- 2012.01.16
- 【第12回】市場は世界。打つ手は無限。ECにこそ必要なグローバル視点








コメントする