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(株)エクストラコミュニケーションズ   代表取締役 前野 智純

【第43回】食品ガラパゴス

2016年08月08日|トラックバック(0)

POINT

『抹茶販売世界一の抹茶は…』
『東京五輪の選手村は、輸入食品に頼らざるを得ない』
『日本の農作物が背負う、圧倒的ビハインド』

 
 「日本の食品は安心、安全」という神話(?)が、日本国内では根強く残っています。確かに、よく耳にする中国の危険食品に比べると安全ですが、そんな極端な比較は何の意味もなく、実は、その中国にもすでに食品輸出で負けてしまっています。一例を紹介します。

 今、世界中で抹茶が大人気です。健康にもよく、おいしくて、そのまま飲むだけでなく、様々な加工食品の原料としても使える抹茶は、各国で求められています。我々の感覚で言うと、当然、抹茶は日本のものです。しかし、「和牛」同様、抹茶も実は世界で一番売られているのは、日本製ではありません

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■抹茶販売世界一の抹茶は...
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 先日、大手の流通関係者に聞いた話では、世界で一番抹茶を売る企業は、スターバックスだそうです。日本で生まれた「抹茶ティーラテ」などのメニューが、世界中で人気です。しかし、海外のスタバで使われている抹茶は、日本製ではないそうです。聞くところによると、日本では日本製が使われているらしいですが、日本以外の国では中国製の抹茶だということです。世界で一番抹茶を売っている企業が、そのほとんどを中国から仕入れているのです。

 理由は、「安全基準」です。日本の農作物は、世界標準のGlobal G.A.P.を取得しているところはほとんどなく(全体の数%のみだそうです)、ローカル基準のJGAPを取得しているところも少数派。これでは、比較検討の土台にすら上がれません。

 どっちが安全という軸の話ではなく、基準が違うということです。しかし、安全性を軸に考えても、日本は実は農薬基準が甘く、海外から見ると「農薬大国」です。農作物の輸出には、残留農薬の検査が義務付けられていますが、そこをクリアできない農作物が多いのです。

 先日、日本の小売大手の海外店舗でバイヤーをしていた幹部の方が、「日本からの農作物輸入は、まったく期待していない」と断言していました。「無理です」と。理由は、安全基準です。コストの議論をする前に、安全基準が合致しないと。

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■東京五輪の選手村は、輸入食品に頼らざるを得ない
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 こんな話もあります。2020東京五輪の選手村で出すすべての食料は、Global G.A.P.が求められています。もちろん、オリンピックのためにこれから取得するなんて現実的ではなく、時間的にも無理です。ということは、ほぼすべての食材は、海外からの輸入ということになります。

 現在、政府は日本の輸出率を上げようと躍起です。特に、お米やお茶などは、国を挙げて輸出していこうという意思が感じられます。しかし、現状は、自国開催のオリンピックですら、安全基準の違いから、出す食材がないのです。

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■日本の農作物が背負う、圧倒的ビハインド
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 中国の危険食材は確かにひどいですが、日本にいると、どうもその手のニュースが多く、一方で、今回の記事のような現実は、あまり知らされていないような気がします。しかも、スタバの抹茶は、その中国製です。聞けば、中国国内でも、世界トップクラスの安全基準で、徹底管理しているところも、ほんの数%程度だけど存在するそうです。そこに、グローバル市場で完敗しているわけです。食品に限らず、モノづくりで中国に「品質」を徹底されると、日本はまったく勝ち目がありません

 日本の大手小売りの海外店舗は、日本からの輸入にはほぼ期待していないと書きました。しかし、そこも含めて、日系の大手小売りは、海外店舗でも「○○県フェア」などを頻繁にやっています。そこに、行政や銀行、大手商社などが乗っかって、補助金などを使って地方の食材をよく出品しています。

 どうも、それで「□□で売った」などと実績扱いしている人がいるようですが、スーパー(デパート)側からすると、その手の企画は不動産ビジネス、つまり場所貸しです。有料で場所を貸して、主催者が商品を集めてくれて、宣伝をして人も集めてくれる。その上、売り上げのマージンも払ってくれるわけで、とても歓迎すべきビジネスです。現地にいると、すでに「やり過ぎ」感満載で、少々飽きられてきている感じですが、それでも特に北海道関係などは、やはりよく売れます。

 しかし、スーパー(デパート)側からすると、それらは一切自社で流通させた商品ではなく、あくまで場所貸し。それを「○○で売った」などと言ってもらっては困るというわけです。ですので、海外での流通は当然それらを除外して考えないといけません。そうすると、本当に大手で流通している商品は、全体からするとごくわずかです。特に、コモディティ化されたブランド商品ではなく、ニッチなスペシャリティ商品となると、数えるほどしかありません。農作物は、上記の理由で大手になればなるほど基準に合いません。

 中国はひどいという前に、完全ガラパゴスで、世界で勝負できない自国の現状を認識するべきだと私は思います。

 

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