「運営の質」が問われる時代
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■メディアの常識
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エクストラコミュニケーションズの前野です。以前もここで連載させて頂いておりましたが、再開にあたり、私が創業したころから現在までのWebビジネスの変遷を思い起こしながら、今後のECサイトのヒントを探ってみたいと思います。
Web専業の事業所として97年に個人事業でスタートして以来、現在まで500件以上のビジネスサイトの立ち上げ、及び運営に携わってきました。

現在は、弊社内に営業系や制作系のプロデューサーがいますので、私自身がひとつの案件にどっぷりと関与することは少なくなりましたが、要所のチェックは私が行っておりますので、それらを加えるともっと数が多くなると思います。
事業の立ち上げ当初は、まだ日本全体がWebビジネスの黎明期であり、「とりあえず作ってみる」ことが先進的な試みでした。何のためにWebを運営するのか、目的が曖昧なところが多かったような気がします。
"目的"が曖昧であれば、当然"手段"も明確にはなりません。誰に対して何をどう見せるのか、メディアとして最も基本的な5W1Hは、目的が明確化されてこそ定義できます。それを蔑ろにしてしまったために、ほとんど役に立たないサイトばかりが粗製濫造されていたように思います。
また、市場そのものが、役に立つレベルにまで成熟していなかったのも確かです。
つまり、明確に供給過多の状態で、企業がお金をかけて立派なサイトを作っても、それを使うユーザーは限られていたわけです。
さらに、敢えて乱暴な表現をしますと、我々のようなWeb事業者のレベルにも大きな問題がありました。上記のように、メディアとして必要な基本要素を考えることなく、あるいはどのように運営していくかという、目に見えない戦略を考えることもなく、単に「こんなサイトが作れます」という技術者的発想で案件を引き受ける事業者が、あまりにも多かったように思います。
Web事業者でもそんなレベルですから、印刷業などまったくの異業種の場合は言うに及びません。
ある程度、見た目がまとまったサイトを作り、それでビジネスを完結させてきたわけです。
それでは、ビジネスの成功など、到底及びません。
事業者とクライアントのWin-Winどころか、お互いに敗北する最悪の状態になってしまいます。
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■Webはツール(道具)である
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さて、これまでWebを"メディアとしての側面"で捉えてお話ししてきました。
もうひとつ、黎明期と現在を比べて大きな違いを感じるのは、
"ツール(道具)としての側面"
の成熟度です。
言うまでもなく、Webは"クリック"という能動的なアクションを通じて、ユーザーに目的を達成してもらうものです。その目的を達成するために、ユーザーは最初に"検索"という能動的なアクションを行います。
それらを大前提に、見やすく使いやすい(Webユーザビリティ)サイトを作り、成長させていく必要があるのですが、数年前はそれらをしっかりと踏まえたサイトは非常に少なかったように思います。
使う側の視点から、徹底した使いやすさを。
これが"ツール(道具)の常識"です。
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■「運営の質」が問われる時代
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そのように、Webとはメディアであり同時にツールでもあります。
そんな極めて特殊性の高いものが市場に出てきて、あっという間に浸透したわけですが、当時は本質的な活用とはほど遠い状態でした。技術のトレンドには敏感に反応するものの、Webの本質を明確に捉えていた会社はナショナルクライアントも含めて非常に少なかったのではないかと思います。
Webの本質とは、メディアであり、ツールであるということを踏まえて、
「日々の試行錯誤を通じて成長させていくこと」
にあります。
つまり、いかに運営するか、その質が問われるのです。
常に目につきやすい場所(検索エンジン上位など)に露出し、必要に応じて随時更新し、目的を持ってユーザーのレスポンスを計測し、それを元に中身を改善する。
私は、その繰り返しを「試行錯誤サイクル」と表現していますが、それこそがすべてのWebに求められることなのです。
黎明期と現在では、技術の発達は比べるまでもありません。
しかし、全体的な運営者の意識レベルは、それほど変わっていないような気がします。
ひとことで言うと、
「広告(=他の媒体を使って宣伝すること)」
という意識から抜け出していない人が多いのです。
確かに、Webユーザビリティは全体的に向上しました。コンテンツも充実したものが多くなっています。
しかし、運営者自身が「Web=広告」という意識を持っている以上は、そのWebはビジネスとして成功することはない、と言っても差し支えないでしょう。
その意味で、そのサイトが成功するかどうかは、制作前の打ち合わせの段階で、ある程度予測出来ます。どんな運営体制を考えているのか。あるいは、こちらが提案する運営体制と、頭で思い描いているものとのギャップがどれくらいあるか。そして、そのギャップを埋めるために努力する姿勢が見られるか。
それらを見れば、その"投資"が活きるかどうかは、だいたい事前に判断できます。
ECサイトの場合は商品力や価格競争力が大事なのは言うまでもありませんし、
それ以外の場合も、ほかに重要なファクターはいくつもあります。
しかし、そのような意識がなければ、商品力があったとしても、よほどの運がない限り成功にはおぼつきません。
繰り返しますが、問われるのは「運営の質」です。
例えば、弊社が運営する
オンラインクーポンサイト「クーポン市場(http://www.cpon.jp/)」
では、参加している店舗に毎日電話をする「更新チェック係」がいます。少し更新が滞っている店舗などに電話を掛けて、内容更新を要求するのです。
直接的には、弊社には何の利益ももたらしません。しかし、各店舗にしっかり運営してもらうことは全体の活性化に繋がりますし、お客様に効果を実感して頂くためには必要な作業です。
黎明期は、仮に質を高めたとしても、市場にそれを受け入れるだけの力がありませんでした。
しかし、今は明らかに違います。運営の質を高めることこそが、Webで利益をもたらす重要なファクターなのです。
目に見える「フロントエンド」から、見えない「バックエンド」に、重要性がシフトしているとも言えます。
今回の連載では、その部分に焦点を当て、ECサイト成功のためにいかに運営するかを中心に書いていこうと思います。
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