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「上手くいっていない」ことを誰にも相談できない・・・・・自己啓発本には載っていない現場視点の「孤独な社長の裏マニュアル」です。

有限会社アズモード   代表取締役 宮脇 睦

【第72回】WELQと詐欺と引用の線引き

2016年12月19日|トラックバック(0)

POINT

『詐欺の手口』
『WELQの手口』
『SEOの手口』
『パクリの手口』

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■詐欺の手口
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 サイトやコンテンツの検索順位は気になるところです。その為のアプローチが「SEO」であることは、ネット通販の担当者ならご存知でしょう。多少のお金で済むなら、支払うという人は少なくありません。そこに悪意が入り込みます。いわゆる「SEO詐欺」というものです。基本的にこの詐欺のカギは「契約」にあります。私が相談を受けたケースは、幾つかのキーワードの組み合わせで、検索結果の10位以内に入れば「成功」となり、月額5万円×18ヶ月(3年)の支払い義務が生じるものでした。キーワードの組み合わせは、詐欺グループが提案するので、予め競争相手の少ないキーワードを提案しておけば、何もしなくても達成するという手口です。そして詐欺は成功しました。「契約」を結んだ以上、両者は契約内容に合意していたことになり、契約内容を拒否することができず、裁判で争いましたが負け、支払い命令が確定しています。くれぐれもご注意ください。

 「詐欺」の話を持ち出したのは、「WELQ(ウェルク)」の騒動により、彼らの手口を語った「詐欺」への懸念です。詐欺師は、年末や年度末など、慌ただしい季節に暗躍する習性があります。また、WELQと同じ轍を踏まない「引用」の基本について。


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■WELQの手口
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 WELQとは横浜ベイスターズのオーナーとしても名高い、東証一部上場企業「DeNA」が運営していたキュレーションサイトです。キュレーションサイトとは特定分野の情報を、収集整理して公開するものです。WELQは医療系の情報を扱うと掲げながら、「肩こりの原因は幽霊?」といったトンデモ記事を配信し、「やけどの処置には濡れタオル」といった、間違った情報を掲載していました。濡れタオルは患部の熱を帯び、症状を悪化させることもあり危険。流水が基本です。ちなみに私は調理中などに負ったちょっとした火傷なら、冷凍庫に常備している冷菓に付いてくる保冷剤で、患部が痛くなるほど冷やすことにしています。人体実験・・・もとい、経験則として我が身では効果を確認していますが、トンデモかもしれません。一番良いのは「医者」に行くことです。

 WELQが問題視されているのは「死にたい」というキーワードに表示されたコンテンツが、鬱病などの精神疾患を悪化させかねない内容で、しかも目的が「求人サイト」へ誘導して手数料を得る「金儲け」だったからです。その他のコンテンツでも組織的なコピペやパクリまで発覚し、さらにはその他のIT大企業でも同様の手口が疑われており、いま、大企業のモラルが問われています


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■SEOの手口
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 「死にたい」とネガティブなキーワードで、検索結果の1位を狙ったことを不思議に思うかも知れません。有り体に言えば「死にたいが金になるか」ということ。SEO界隈では古くから知られていることですが、「ハゲ」「デブ」といった「コンプレックス」に関するキーワードは金になります。悩みを抱えた患者にとって「ネットで検索」は誰にも知られずに解決策に辿り着けるかもしれない救世主なのです。「死にたい」はコンプレックスに隣接し、多くの場合、人には言えない悩みです。これはネット通販にも通じます。扱う商品が「コンプレックス」に隣接するなら、そのキーワードでSEOに取り組むべきだということです。しかし文字通り「死」に関わることは、金儲けの道具にしてよい言葉ではありません。

 そしてもうひとつ。狙ったキーワードで「SEO」がそれほど上手くいくモノか。実はWELQの手口は、その目的はともかく、SEOとしては王道でした。悪用されても困るので、ざっくりとまとめると以下の3つです。

・情報量を増やす
・キーワード量を増やす
・コンテンツ数を増やす


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■パクリの手口
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 グーグルはコンテンツの中身を精査しません。貼られたリンクの数と、コンテンツにあるキーワードを総合した上で、独自の基準で順位を決定しています。リンクの数は俗に「美人投票」と呼ばれ、それは絶対的な美の基準があるわけではなく、投票に参加した人々の主観に基づいた総意だという意味も含まれます。「美人投票」については、組織的不正投票が横行したことから、より厳格に審査され、手間の割りに効率の良い方法ではないと考えられています。そこで今の主流はコンテンツです。

 WELQは薄謝で雇ったライターを使い、他のサイトから文章や写真をパクり、コンテンツを量産していました。本稿執筆時、結論はでていませんが、著作権侵害が疑われる事案です。ただし、パクリと引用は異なり、まともなコンテンツ・文章でも「引用」は使われます。両者の違いを端的にいえば、コピペした箇所がなくても文意が伝わるのが引用で、コピペ箇所が主題になっていればパクリ=著作権侵害です。

 ここが今回のポイント。コンテンツを作る上で、他のサイトから引用したり、参考にしたりすることは、決して悪いことではありません。問題となるのはその度合いです。コンテンツを味付けし補強するのに用い、さらに出典(引用元)を明記していれば「引用」であり、そうでなければ「パクリ」だということです。

 そして、最初の話しに戻ります。これからパクリを駆使した「WELQ」の手法を匂わせる「SEO詐欺」が増えると睨んでいます。世間を騒がせたニュースは、良しにつけ悪しきにつけ「ネタ」にするのが彼らの手口。SEOの売り込みで、WELQの名前が出てきたらアウト。「外部ライター」「専門のライター」にも注意が必要です。そして、まとも(健全)な業者は「成功保証」などしません

 最後になりましたが、よいお年をお迎えください。


◆社長のための裏マニュアル
引用とパクリは違う


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有限会社 アズモード 代表取締役
 宮脇 睦(みやわき あつし)
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