【第5回】会議はしていただくもの。糖分摂取にまで気を遣う理由
POINT
『理想的な会議が持つ矛盾』
『アイデアを求める愚行』
『社長の仕事はプロデューサー』
『ふくよかな社員に飴を配る』
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■理想的な会議が持つ矛盾
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忌憚なく建設的な意見が飛び交う自由闊達な議論。理想的な会議を言葉にするとこうなるのでしょうか。前回の連載シリーズの第5回で「こんな会議がWebを殺す。コンテンツ会議の大人術」 と、社員側からみた会議の裏技を紹介しましたが、奇しくも同じ5回目は社長側からの会議術です。
冒頭の一文が現実離れした理想論であることはみなさんも経験則としてご存じのことでしょう。そしてこれは嘆くことではなく「良い組織」の証である場合もあります。人は社会性動物で群れの中でそれぞれの役割を演じます。家庭では父や母、会社では上司に部下、社会では客と店の役割を演じ、ユングはこれをペルソナ(仮面)と呼びました。会議においては発言者、批評家、傍観者、議長といったペルソナがあり、全員が「発言者」ならまとまるわけがありません。つまりペルソナが機能していれば口角泡飛ばす議論もなく会議はスムーズに終わるものです。
多くの社長が誤解しています。会議は開くものではなく、参加していただくものなのです。
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■アイデアを求める愚行
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社員は社長ほど会社のことを考えてはいません。これを悲しむことはありません。「ラーメンは好きだけどカレーほどではない」と耳にしたラーメン屋が悲嘆に暮れるでしょうか。カレーライスにちょっとしたジェラシーを覚えるぐらいのものでしょう。社長にとって人生そのものの会社でも、社員にとっては家族や趣味のほうが上位にあるというだけのことです。そんな社員に「ラーメンの未来について意見を」と求めて即答できるわけがありません。会議の場でアイデアを募集するのはこれと同じです。
第一参加者全員にアイデアを求めるのは浪費です。参加者全員の時給計算をすればわかることです。カレーライスが好きな人間がラーメンについて考えを語る時間を皆で共有します。この間の人件費は誰が払うのでしょうか。不景気のご時世にもったいない話です。
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■社長の仕事はプロデューサー
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浪費を避けるにはペルソナを活用します。先に述べたように会議には発言者、批評家、傍観者、議長のペルソナがあります。アイデアや意見を述べるのは発言者のペルソナです。斬新な発想は得意ですがじっくり吟味するのは苦手です。批評家は他人の意見を精査することに長けているので彼にやらせます。傍観者には同意を求める程度で結構です。無視しろということではなく多くを求めないとい
うことです。傍観者のペルソナを持つものにとっての意見表明は苦痛でしかありません。調整係は議長です。能力よりも人柄で選んでください。
社長の仕事は人材に見合った「ペルソナ」を与えることです。会議の前に「あらすじ」を耳打ちしておき、それぞれのペルソナで参加していただくのです。開幕のベルが鳴れば社長は観客。参加者の演技を楽しみましょう。社長が出演者になる場合もペルソナのキャスティングをお忘れなく。
これを「茶番劇」とするのは見解の相違、議論の前提の問題で、私は会議を合意の場(ステージ)と考えており、お膳立てや下準備の大切さを説きます。読者から会議の前に下打ち合わせをすることを「根回し」といって外国人の同僚がバカにすると聴きました。私はそれにこう答えました。
「ロビイストとはアメリカ議会の根回し屋」
根回しは世界共通。バカにされるいわれはありません。時間の浪費をさけることは生産性の向上、分かりやすく言えば「無駄金」が減ります。つまり会議の時間は短い方が儲かるのです。
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■ふくよかな社員に飴を配る
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社員の意見を聴かない社長になれといっているのではありません。箴言するなら「給料以上の期待をするな」と「給料分の活用」で、能力以上の素晴らしいアイデアを期待するのが前者、会議に時間をかけず実業務をやらせろというのが後者です。また究極でいうならこうです。
「会議で活発な議論がおこるなら、現場ではそれ以上の話し合いが行われている」
これにはもうひとつの意味があります。それは現場で話し合いがないような問題意識の低さではアイデアや意見を訊ねるだけ時間の無駄だからです。
どうしても意見やアイデアが欲しいのであれば彼らの側に立った「配慮」が必要です。例えば社長には理解しがたいでしょうが、会議室は緊張するという社員もいます。ならばいつも仕事をしているデスクで話し合いをするのもひとつですし、近所のガストで行うのも方法です。甘い缶コーヒーを愛するメタボなアラフォー社員は会議が30分以上長引くと不機嫌を隠さず無口になりました。飴を用意しておき会議の途中で食べさせると2時間経過後も笑顔で発言が続きます。医者ではないので確定診断はできませんが、糖分摂取が断たれることで肥満性の低血糖となり攻撃性が強くなるのではないかという見立てです。そして成功しました。これは実話で、飴を用意するという「気遣い」は「参加していただく」という発想から生まれたものです。しかしこれを面倒と感じるのなら、社員に多くを望まない方が両者にとって幸せです。
◆社長のための裏マニュアル
「沈黙し迷走する会議でも給料を支払わなければならない。会議は配役に力点を置くこと」
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