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「上手くいっていない」ことを誰にも相談できない・・・・・自己啓発本には載っていない現場視点の「孤独な社長の裏マニュアル」です。

有限会社アズモード   代表取締役 宮脇 睦

【第76回】ネット通販の脱落者を拾う19世紀のICT

2017年08月21日|トラックバック(0)

POINT

『当たり前という幻想』
『カートを苦手とするタイプ』
『アナログという最強の解決策』
『プロのサービスを検討』

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■当たり前という幻想
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 21世紀になれば、ネットやパソコンは日常に溶け込み、誰もが自在にブラインドタッチができ、軽やかにマウスを操作して、飲み食い以外はすべてネットで完結するようになる。はてさて、21世紀もかなり過ぎ、体感値ながらスマホに慣れ親しんだ若者は、フリック入力を当然としたことでブラインドタッチを苦手とし、マウスの表面を弾いたり、つまんだりして「スワイプ」と「ピンチ」せよと念じています。平たく言えば、パソコンを苦手とする若者は多く、メールやLINEといったツールでネットを利用しても、生活の全てをネットに依存する人は、それほど多くなっていないということです。

 新しいテクノロジーの普及期は、過度な期待が一人歩きし、数々の都市伝説が生み出されます。とりわけ、ネットにこの手の話が多いのは、いまもって技術進歩が人類を幸せに導く「テクノユートピア」が幅を効かせているからでしょう。ファンタジーとしては嫌いではありませんが、人間のOSは自動アップデイトされるものではなく、むしろ「最新」の猛スピードから脱落して、各駅停車のように徐々にキャッチアップしていく方が多数派です。

 つまり「誰もがネット通販になれているわけじゃない」ということ。そしてこの脱落者の「取りこぼし」は意外に大きく、これを最小限にするのが19世紀に生まれたICTです。ちなみにICTは、Information and Communication Technologyの略で、国内ではITとさらに略されています。

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カートを苦手とするタイプ
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 ある犬友達のご夫婦はどちらもアラフォー。一切、ネット通販をやらないといいます。「ちゃんと届くのか」という不安が最大の理由ですが、「色々入力するのが面倒」ともいいます。もちろん、ブラインドタッチはできません。いままで一度もネット通販を経験したことがないというのは、いささか極端な例に思えるかもしれませんが、意外と珍しくなく、私の周囲では他にも何例かあります。

 我々、ネットを舞台にしている人間からすれば、購入希望商品が明示されるショッピングカートシステムは便利なものですが、そのシステムに慣れていない客がいるのです。ネット通販を苦手(利用しないも含め)とする幾人かに話を聞いたところ、もっとも多かったその理由が

「どのボタンを押して良いかわからない」

 というもの。いわゆるユーザビリティというレベルのはるか手前。コンピューターは特別で繊細なもので、下手な操作をすると「壊れる」と思っているのです。

 実際にこんなこともありました。パソコンを苦手とする女性に、あるシステムの操作方法をレクチャーすることになりました。ログインIDとパスワードを入力して、幾つかの手順を辿る簡単なモノでしたが、悪戦苦闘します。同じ失敗を繰り返す姿に、いささか飽きた私は、不意を突き「ボンッ」と爆発音を口にすると彼女はビクリと身を固め「ギャッ」と悲鳴を上げました。彼女もネット通販は苦手と言います。直後にこっぴどく叱られました。

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アナログという最強の解決策
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 また、ネット通販を苦手とするお客は、総じて取扱説明書を読むのが苦手なタイプに重なります。つまり、パソコン画面に書かれた情報を「読み解く」ことが不得手なようです。これは通販業者なら誰でも共感することでしょうが、どれだけ説明尽くしたつもりでも「誤読」する客はいます。理解力に首をひねることも多く、「10本セットです」と書いている商品に対して「何本入りですか」との問合せは日常茶飯事です。

 カートシステムが苦手でも、読解力に難があってもお客はお客。彼らを取りこぼさないための有効な対策が「電話受付」です。実にアナログ的解決方法ですが、現場レベルでは最強のフォローツールといって良いでしょう。

 電話番号入りで「お電話でも注文を受け付けます」と添えたところ、カートからの注文を上回ったBtoBの事例もあります。領収証の有無や、支払い方法や納品日時など「聞いた方が安心」という購買担当者からの電話が増えたのです。そして多くのケースが購入につながります。これは先の「犬友達」の不安に通じます。

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プロのサービスを検討
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 通販ではありませんが、ある美容関係のサイトは、ネット受付もしていますが、お客の大半は電話予約です。これも症状や状態を直接相談できることで「不安」を解決しているようです。

 とりわけスマホの普及により、「ネットと電話」は文字通り一体となっています。19世紀に生まれた「通信手段」を、いま一度、見直してみてはいかがでしょうか。

 通販業者のなかには、電話対応する人員がいない、という企業もあることでしょう。通販法に従い電話番号は掲載していても、正直、電話をかけてきて欲しくない、という個人商店もあります。そんな時は「電話代行」を利用します。まるで専任スタッフのように受け答えをしてくれるサービスです。料金は様々ですが、安いところでは月額1万円からプロのオペレーターのサービスを受けることができます。

 おまけながら、FAXも再検討すべきツールです。ある工具販売サイトでは、「FAX申込書」をPDFデータで用意してから、FAXによる注文が増えています。


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有限会社 アズモード 代表取締役
 宮脇 睦(みやわき あつし)
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